第13話
「おいしかった」
帰り道、俺は、吸われすぎてやる気が出なかった。
「また、明日もらうね」
リリスは俺にウインクする。俺は、今日はじめて恐怖を感じた。
「それにしてもおおかみおんながどうして一緒なの?」
まるで浮気されて問い詰められているかのようにリリスは聞く。リリスは彼女ではないが。
「そんなの決まっているじゃないですか!候補ですよ」
大神さんが自信満々に言う。
「こうほ?」
リリスと声が被ってしまった。
「だってお兄様が、人間との子供がいいって言うんです」
なんかどこかで聞いたことあるな。たしか魔界では兄妹婚が普通って聞いたが。
「それに最近、兄妹で結婚するの少ないんですよ。人間の女がいいってみんな言ってて。人間界に飛び出していってしまって。だから仕方なくここで探すことにしたんです」
どこか悲しそうに聞こえる。まぁ、オスはいっぱい子供埋めそうなカラダを求めるからな。人間のメスのほうがグラマラスでエロいって思っているのかもしれないな。
「そして、今日、私、先輩のこと気に入りました。ぜひ私に先輩の子種で孕ませてください」
大神さんは俺をじっと見つめる。その瞳はとてもキラキラしていて逆に気持ち悪い。
「えーーーーーーーーー」
俺は、叫ばずにはいられなかった。
「だって、いろんな人間のオスと交流してきたんですけど、やっぱりイマイチで」
ちょっと待てよ。大神さんってヤリ〇ン?昼休みのあの反応は処女にしか見えなかったのに。もしかして、演技か?それとも…
「ダメ!」
話を聞いてか、今まで黙っていたリリスが怒った。
「敦史の〇液は、私のなの。お兄ちゃんが見つかるまで私の食料なの。誰かのものだと味変わるからやめて」
ひどい言われようだ。だが、俺もリリスのこと性欲処理的な感じにしか思っていないから同じようなものか。それに味ってそんなんで変わるのか?
「嫌です。狼は一度決めたら、貫き通すんです。それにお兄ちゃんが見つかったらってことは先輩は入らないんですよね?なら、私がとっても文句は言えないはずですよ」
大神さんは、うふふと笑う。狼って性欲強いし怖いな。
「それはそうだけど、でも…」
リリスはそれきり黙ってしまった。
「勝った~と言うことで先輩、私を先輩と一緒に住ませてください」
これどういう流れだ?もしかしてそれを想定した中であんなことを。本当に恐ろしいな。まあ、大神さんも増えたら、おかずも増えることになるから悪くはないが。ん?ちょっと待てよ。もし親にばれたら大変だ。親はほとんど帰ってこないがいきなり帰ってくるときもある。その時に限ってバレるのはあり得る話だ。もし、女と暮らしている事実を知れば平穏な暮らしが壊される。
「大丈夫ですよ。私、狼になれますから。ご両親が来れば犬買ったんだって通じますよ」
そんなうまくいくのだろうか。それに、もし遠吠えを始めてしまったら、近所迷惑になる。
「大丈夫ですよ。遠吠えとかしないし、ただセ〇クスは求めるかもしれませんが」
やっぱり怖えーよ。
「とりあえず、今日は、考えさせてくれ。じゃあな」
俺は、欲と恐怖の狭間で揺れていた。
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