ツン&ふわ軍師〜バイブスで決める異世界統治〜

第26話 真面目&天然VSイケメン

「これはまた、お嬢さんがいらっしゃいましたな」

「私は無視ですか」

ケロルがやけに殺気だっている。素早くカタクラに駆け寄ると、回復魔術をかけた。

「かたじけない」

「気にしないでください、将軍」

ジュンヌは自らの剣を抜き、ガレインに立ち向かった。ガレインは冷ややかな目で見つめて、

「一騎討ちと行きましょうか」

「望むところです」

「ジュンヌさま！」

カタクラの悲痛な叫びも虚しく、ジュンヌとガレインの一騎討ちが始まった。ジュンヌの剣は細いレイピア状であるに対して、ガレインのは大剣とも呼べるものである。

「一撃で決めて差し上げましょう」

ガレインの鎧が眩く輝き始めた。

「飛べ『星之如（スターゲイザー）』！！！」

「まずい！いや、見える」

ガレインの一撃は軽くジュンヌにかわされた。ガレインの鎧からは煙が上がり、本人も驚きを隠せていないようだ。

「お姫様なのに凄いね。ついつい、もう一回やろうとしてしまったよ。危ない危ない」

「あなたが何と言おうと敵に変わりありません！行きます！！」

振りかぶり駆け寄るジュンヌだが、その姿にはあどけなさが感じられる。

(やはり偶然だったか)

ガレインは軽々と自らの大剣で、ジュンヌの一太刀を受け止めると、刀ごとジュンヌを吹き飛ばすように、その大剣で吹き飛ばした。

(やられる！)

ジュンヌの視界の中では、目の前が一回転したように思えた。

「痛くない、、、」

確かに一回転は起こっていた。しかし、一回転したのは決してジュンヌではなく、ガレインの方であった。綺麗に回されたために、土下座のような形でひざまずいてしまっている。

(この女、どういうことだ。足取りや構えはど素人なくせに、返し手だけは一級品というわけか。僕、いや俺をコケにするとはいい度胸だ。賞賛と報復に値する)

ガレインは立ち上がると、すぅーと息を吐いた。もうその顔はイケメンとは言い難い、怒りに震える別人の顔になっているのだった。

「粉微塵となるがいい！！」

今までガレインの鎧に纏われていた光が、一段と輝きを増していく。ジュンヌはその鋭い閃光と殺気に後退りせざるを得ない。そんなジュンヌの耳にモモの声が聞こえた。

「自分を信じて、逃げないで！」

その声に自分を奮い立たせたジュンヌは覚悟を決めて、地を踏み締めるように構えた。

「消えろ『星屑之閃光（スターバニッシュ）』！！」

辺り一面が眩い閃光で包まれた。

つづく