ねこの存在感で引き立つ、物語の無目的さ

重苦しく内省的なつぶやきでつづく夜の描写へ、ふっとあらわれるねこの存在感が印象的です。でもそれによって、物語の根底にある強い無目的感が取り払われるわけでもなく(髭を剃ろうと思い立つのも、偶然頬にかかった雨によるもの)。でもそれが、ちゃんとまとまっているところに、作品の力量を感じました。