第3話開戦

「さて、諸君。とうとうこの日がやってきた。怨華討伐戦。jusxaの5名は"醜"が出没した駅前に向かってくれ。機動S隊は周辺の警備に回れ。A隊は治療班と共に行動せよ。解散!」「はっ。」全員が駆け足で準備へ取り掛かる。「ねね、雅くん。」「何だ、恵園。」「いゃぁ、そんな怖い目つきしないでよ。昨日、愛弓さんにあったんでしょ?ん。その表情は図星か。ハグしたの?キスしたの?それとも…?」にたにたとした表情で茶化す。「質問の仕方がおばさん臭いぞ恵園。」「なっ!おばさんだと!酷いよ雅くん。神崎さぁん、雅くんにいじめられたよぉ。」神崎に抱きつく恵園に対して「ううっ…邪魔くさい、猛烈に邪魔くさい。泣くならひとりで泣きなさいな。」美女の所業とは思えない塩対応。「うえーん。笹川ぁ。」「うんうん、可哀想に恵園。今度からは冷たい二人じゃなくて僕に頼りな。」「冷たい…だと?!」「うん、やっぱり笹川が1番だよぉ。」「甘えさせ過ぎじゃないか笹川?」「そうですかね?まぁ大丈夫だと思いますけど…。ところで恵園、この前僕に買わせたスーペーケップのお代返せよ。」「え、?あれは奢りでしょ?」「は?んなわけないだろ。へい、金。」片手を恵園に突き出す。「はぁ、笹川がそんなに冷たい人だとは思わなかったよ。」恵園の唐突な掌返し。「はあ!?今度返すからって言ったから買ってやったんだよ!」「おい、着いたぞお前ら。ビシッとしろよ。」剛炎寺の一喝。もう既に駅前に到着していたようだ。「来るぞ…」この前の様に地面に紋様が刻まれて恐らくは"醜"脆河が転送される。「やぁ、どうもどうもこんにちは。僕の名前は覚えてくれたかな?」「脆河、雑談は終わりだ、今からお前を斬る。」雅輝が構える。が、脆河は両手を合わせて体をくねくねさせる。「はあっ、嬉しいなぁ名前を覚えてくれている!しかし残念だ。君達とは気が合うと思っていたんだが、斬ると言われてしまっては戦う他ないな。さぁ戦え僕のかわいい玩具達!」脆河は両腕を上へと引き上げる。すると、周りからは魔法陣が出現する。そこからは先日の傀儡と同種と思われる生物が湧いてくる。「とっておきの霊をブレンドしてるからねぇ。ゆっくり遊びなよ。」「やはりか…」剛炎寺が呟く。「何に気づいたんだ、剛炎寺。」雅輝が問う。「奴は死霊術師だ。ここ最近の連続集団誘拐、墓荒らしは怨華の者の仕業だと長官がおっしゃっていたが、そうらしい。死体を操れるだけではなく、合成させて強化することもできる。だから、ただの死霊術師何かとは格が違う。」「ならば、

僕の広範囲攻撃で傀儡共を蹴散らし、雅輝、剛炎寺。お前ら2人で脆河を倒せ。」「わかった、笹川。頼んだぞ。」「おい、男子3人!早く倒しなさいよ。次から次に湧いてくるんだからこいつ等。」神崎ががなる。「『岩砕_衝波』」笹川を中心に衝撃波がとぶ。傀儡は胴を真っ二つにされて崩れていく。「いくぞ剛炎寺。」「ああ。」『雷虎_咀斬』『剛砲_炎宴』雷の斬撃と炎の砲撃で脆河に畳み掛ける。「くっ、煩わしい。『瞬化醜刀』」脆河の手にはなかったはずの紫の奇怪な剣が握られていた。彼は2人の攻撃に向かって斬撃を繰り出す。2人は驚愕した。「攻撃が斬られた。」「うん、正しい見解だ。この刀、瞬化醜刀は斬ったものを時間を千年進める。理解できるかな?5歳の人を斬れば、その人は1005歳になるということ。老いることは醜いことだ。身体は朽ち、腐る。さぁ君たちが爺になるところを拝んであげようじゃないか。『醜斬_悪愚裏異』」不規則な太刀筋が振られる。「ぐっ、」二人は間一髪で避ける。「あちらの3人は退屈そうだねぇ。では『霊現_mononofu』」術が唱えられると、武士のシルエットをした傀儡が3体出現する。「まさか…あれは。」「そうとも、雅輝くん。あれは平将門、織田信長、宮本武蔵の霊だよ。死体探しはなかなか苦労したけどね。その分強力なんだよ。君達は僕に勝てるかなぁ?僕の玩具になるんだったらもうやめてあげるけど?」「はっ。そんな条件呑むわけないだろう。どんだけお前が死体を呼び出そうが、蹴散らしてやるよ。」雅輝が怒鳴る。「へぇ。威勢がいいのも今のうちさ。すぐに泣きたくなるよ。」

 勝ち方が見えない第一戦、これから5人はさらなる苦戦を強いられる。





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アンダーワールド~正義執行~ 矢澤 瑞華 @YAZAWAMIZUKA

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