僕らそうやって何度でも

烏神まこと(かみ まこと)

1

 病室に到着したとき、空は眠りについていた。話したいことがたくさんあるのに、なんて運が悪いんだろう。キリッとした眉毛の下にある凛とした瞳を見ることが出来ないのも寂しい。しゃがみ込み、布団から露出している左手を頬に寄せると、僅かながら空の体温を感じ取ることが出来た。


「……愛してる」


 この言葉は本人の耳には届かないだろう。それでも、恥ずかしいけれど、誓う。いつものように。


「僕が空を守るよ」


 誰がなんと言おうと、どんな状況になろうとも僕らの関係は消えない。一生一緒だ。想いを込めて手の甲にキスをした。

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