第11話 嫉妬 side 延珠
竜帝が怪我をした
「どうかなさいましたか!?」
部屋の入口を守る女性兵がどんどん、と扉を叩いた。
「何でもないわ。手を滑らせただけ」
延珠がそう言うと、
夜起が破片を淡々と片付けていく横で、イライラが収まらない延珠は長椅子のクッションに小刀を刺し、びりびりに引き裂いた。中の羽毛が宙を舞う。
「どうして竜帝様はあの娘の事をあんなに気にするの!?」
衛兵に聞こえないように、吐き捨てるように延珠が言った。
夜起は何も答えなかった。延珠も返答を求めているわけではないのだ。
「
二つ目のクッションに刃が突き立った。いつものたおやかな様子はどこへやら、延珠の顔は醜く歪んでいる。
「どうにかならないの!? あの娘は邪魔だわ!」
「
「そんなことは知っているわ! 何とかしなさいと言っているのよ!」
「そうですね……」
手に持った破片の一片をじっと見つめた夜起は、しばし黙考し、そして顔を上げた。
「一つ案がございます。上手くいけば白沙羅を後宮から追い出すことが叶いましょう」
「何がいるの? お父様にお願いするわ」
「では――」
夜起から必要な物と計画を聞いた延珠は、にんまりと笑った。
「そうね。それならあの娘もここにいられなくなるわね」
延珠はさっそく父親に
【Web版】竜帝さまの専属薬師(試し読み) 藤浪保 @fujinami-tamotsu
ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?
ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます