第1話 番外編

(荒井恭介目線)

 高校の入学式に遅刻しかけるという俺には珍しいミスをしてしまった。

 中学でも遅刻なんてしたことなかったのに。

 別に寝坊した訳でもない。学校に来るのがめちゃくちゃ遅れた訳でもない。なのに遅刻しかけた。俺は方向音痴なんだ。俺の入る高校はお金持ちの学校だから、校舎がひろいんだよ。1年の階まで行けない。めんどくせぇ。

 そして今日、もうひとつめんどくさい奴に出会ってしまった。迷ってる途中に階段の角でぶつかってきたチビでうるさい女。なんか意味わからないところで笑うし。気持ち悪。

 ていうかそもそも女は嫌いだ。いつもキャッキャうるさいし、何故そんなに集団行動をする?トイレ行く時も何人で行くんだよ。1人で行けんだろ。それに、自分に都合のいい時はこっちに寄って来るし、都合が悪くなったらすぐ消える。本当。女は「嫌い」だ。

 まあ、今はそんなこと考える必要はない。とりあえず、こいつに教室の場所を教えてもらおう。

 はあ、やっぱこいつめんどくせぇ。いちいちうるさい。頼んだのは俺だけど。

 こいつ、本当小さいな。あ、ポニーテール……。嫌なもの思い出す。多分こいつも同じなんだろうな。「あいつ」と。



 思ったより近くにあったしすぐ着いたな。ていうか、こいつまさか、俺と同じクラスとかないよな。うわ、そのまさかだった。

 もう関わらないでいいだろ。同じクラスだからって仲良しこよしする必要なんかない。

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君と僕 市瀬響歌 @yuuna513

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