サイドストーリー、ド底辺の男の物語が心を打つ

この物語はとにかく前向きで工夫と研鑽と日々を楽しむことを怠らない主人公の活躍が魅力だが、もうひとつ、主人公と運命が交差したさまざまな脇役たちのサイドストーリーも魅力的だ。

それはふるさとの恩人や幼馴染、冒険者たち、悪党や貴族王族など多岐にわたるが、その中でもある男の物語が見逃せない。
その男は貧しい開拓村でもさらに貧しい最弱の猫獣人で、自分が無知なることも知らない、世をすねた文字通りド底辺の男であった。
そんな境遇はすべて貴族社会のせいだとそそのかされ貴族襲撃テロに加わるも偶然主人公の活躍により失敗、逃亡のはてに片手片足を失ってしまう。
が、その後村を出てはじめて出会えた人々とのふれあいの中で世の中を知り、自分の無知を悔やみ、過去の愚行にけじめをつけ、新しい人生に力強く踏み出してゆく。
そんな物語だ。

今後彼は再び主人公と出会うのか、また何を成し遂げるのか。太陽のように輝き世界を照らす主人公のかたわらで小さく光る星のような彼の物語に興味がつきない。


※この物語の中でも彼のパートはいちばん好きな物語なので、はじめてレビューっぽいものを書かせていただきました。

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