足音

綿麻きぬ

クリスマス

 クリスマスで賑わう町の中で私は一人、クリスマスツリーの下であなたが来るのを待っている。

  

 約束の時間まであと15分、足音が聞こえるたびに振り向くがそれはあなたではない。何度期待しただろうか、何度振り向いただろうか、もう分からない。

  

 早く会いたい、その気持ちによって電話のボタンを押そうとする。でもうざいなんて思われないか、とか色々考えてしまい押せない。

  

 好きが止まらなくて、おかしくなりそうだ。なんでこんなに好きってつらいのだろう。

  

 あぁ、早く会いたい。今すぐにでもあなたに会いたい。電話で伝えてしまおうか、いいや、あと10分待てば。

  

 そんな葛藤の中、走る足音が聞こえる。振り向くとそこにはあなたがいた。

  

 あぁ、会えた。私はこの人を待っていたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

足音 綿麻きぬ @wataasa_kinu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ