第38話 新しい魔王軍幹部
国王さんに呼び出されて数日後、俺はまた王城に呼ばれた。
「おお、フォート・アレイス。よく来たな」
「はい、ここに参上しました。それで、本日のご用件は一体何ですか?」
「新しい魔王軍幹部……ですか?」
「ああ、隣国のとある農村の近くの森に新しいダンジョンが出現したらしくてな。どうやら、そこに魔王軍幹部が住み着いているようだ」
「まさか、今回のご用件とは、その魔王軍幹部の討伐ですか?」
「ああ、そのまさかだ」
なんだって!?
また、あのスライム女みたいな面倒な奴と戦うのかよ……!?俺死にかけたんだぞ……!?
……ここは適当に言って、断るとするか。
「申し訳ありませんが、まだ、前の幹部との傷が癒えていなくてですね、今魔王軍幹部の討伐はちょっと――――――」
「ちなみに、今回の魔王軍幹部の首には、5億ゴールドもの懸賞金がかけられている」
「わかりました、このフォート・アレイスが見事その魔王軍幹部を討ち取って見せましょう!」
「というわけで、金を手に入れるために魔王軍幹部を倒しに行くぞ!」
俺は魔王城に戻ると早速、今回のチーム編成を始めた。
「まずは定番のアロマだな。ほぼ全属性の魔法を使えるから、ほとんどの相手と戦えるし」
「そうね!私を連れて行くのは大正解だと思うわ!」
「さて、次はだれにしようか……」
前のときの失敗から、最初から仲間を数人連れていくことにした。
「まぁ、アトラスかな」
「え?わ、私ですか?」
「あぁ、この中で一番強いのお前だしな」
「……や」
「や?」
「やったあああああああああああああああああッッッ!!!」
アトラスは急に叫ぶと、ひたすらガッツポーズをし始めた。
そういや、こいつ自分の出番が少ないとか言って、嘆いてたな。
自分が選ばれたのがそんなに嬉しかったのか。
「あとは……瑠璃かな?」
「え~?私がいくの~?」
「うん、お前も久しぶりに遠出したいだろ。あと、お前もアロマと同じくらい強いしな。なるべく強いやつを連れて行ったほうが良いだろ?」
「うん!わかった~!がんばるね~!」
とりあえず、この3人でいいかな?
もう前みたいにギリギリの戦いをするのはごめんだ。
ここはもう最強の3人を連れて行って蹂躙するとしようじゃないか。
クックックッ……、これが俺TUEEEならぬ俺の仲間TUEEEだ!
というわけで、早速討伐の準備だ!
「よし!準備完了!」
俺は露店を開くための荷物を背負った。
そう、魔王軍幹部討伐はあくまで国王さんに命令されたこと。
俺の本当の目的は、オナ〇ワームの販売ルートの確保だ。
オナ〇ワームの新しい販売先を手に入れられれば、毎月一定量の収入を得ることができる。
多くの魔物を養わなければならない俺にとって、定期的な収入は不可欠だ。
魔王軍幹部をちゃちゃっと片づけた後に、どっかで露店を開くか、どっかの商店に売り込みに行くか……。
まぁ、魔王軍幹部を倒してから考えるとするか。
「ねえー!魔王さままだー!?」
「今行くよ!」
アロマに呼ばれて、急いでアロマたちの元へ向かう。
「もう!遅いんですけど!」
「すまんすまん。じゃあ、早速テレポート頼めるか?」
「もちろん。で、今回の場所はどこ?」
「えーと……、ここだ」
俺は地図の『ムラ村』と書かれたところを指さした。
「ふーん。で、ダンジョンはどこ?」
「少し離れたところのこの森だ」
俺は今度は『フオオォォオオオオオオ!レスト』と書かれたところを指さす。
「なるほどね、分かったわ!」
そう言うと、アロマは早速テレポートを唱え始めた。
とりあえず、向こうの村に行ったら、村の人たちから魔王軍幹部について情報を集めないとな。
「『テレポート』!」
アロマがそう言うと、俺たちの体は光に包まれていった。
「……は?」
次の瞬間、視界に飛び込んできたものは、賑やかな村ではなく、何もないただの土の壁だった。
「おいなんだこれは。どういうことだアロマ、説明しろ!」
「いやね?いちいち村にテレポートして歩いてダンジョンに向かうの面倒だなーって思って、ダンジョンのありそうなところにテレポートしたら成功しちゃった☆!」
「成功しちゃった☆!じゃねぇよバカ!こういうのは大体、村の人に話聞いてからくるもんだろうが!」
「イタイイタイ!ちょっとほっぺたつねらにゃいで!アトラス!瑠璃!助けて!」
アロマは助けを呼んだ!
「いや、これはアロマの知恵不足のせいであろう。通常であるのならば、魔王さまのおっしゃっていることを行うのが定石だ。何事も、慎重に行うことこそが大切だ」
「私もそう思うな~、慎重にするのは大切だよ~。というわけで~、ガンバ」
しかし、誰も助けてくれなかった!
「あああああああああああ!?いたいいたいいたいいたいいいいいいいいい!?」
「どうだ参ったか、オラァ!」
「わ、私は悪くないわよ!第一、私のテレポートが無かったら、ここに来るのに一か月かかるのよ!?ありがたく思ってよ!」
「ああ!?そうだな、いつも感謝してるよ!ありがとうなッ!!」
「イタイイタイ!感謝してるなら止めてええああああああああ!!」
この後、アロマが謝るまでひたすらクソ痛い整体術を施し続けた。
おかげで、アロマの爆乳による肩こりがなくなって『これも全て計算通りよ!』とか言っていた。
俺の整体術のおかげなのにと、ムカついて今度はプロレス技を決めてやった。
童貞を捨てるためにサキュバスを作り始めて20年、いつのまにか魔王になってました~異世界で魔王を倒した転生勇者は童貞を捨てるために奮起する~ 水谷輝人 @akito-mizutani
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