ただ読んでわかるという小説ではありません。
「筆致は物語を超えるか【葉桜の君に】」自主企画参加作でして
共通のあらすじで小説を書こうというもの。
自主企画参加作の多くは1万文字以上費やしているのに
本作は6000文字です。
読者の想像する部分が大きくなっています。
嫌いじゃありません、こういうの。

中学二年の桜子。
同級生の春太、それに担任教師の秋田先生。
桜子は詩作が得意で作家になれといわれたりするけれど
素直に受け入れられるほど純粋ではありません。
両親ともうまくいっていない。
高校二年の時には春太とも決別。

それでも秋田先生の言葉があって
高三で賞に応募し結果を待ちます。
ラスト、暗く湿った所から明るくふんわり風が吹いているような世界が開けます。

ゆあんさんの自主企画、「筆致は物語を超えるか」の参加作品の一つです。

同企画では、葉太が見た桜子の物語。あるいは葉太と桜子の物語が多いですが、本作は完全に桜子視点で彼女自身の物語となっています。

詩を書いている桜子。と言うより、書かされていると言った方が近いのかもしれません。自分の意思とは関係なく書かされている、そんな言葉に意味はあるのでしょうか？
本人視点と言うこともあり、そんな彼女の悩みや孤独が、いっそう深く伝わってきます。

ゆあんさんの企画、『筆致は物語を超えるか』の参加作品。

詩の才能に溢れた女の子、桜子の視点で描かれる物語。
しかし周りの人達と上手くいかずに、悩んで苦しんで。それでも詩を書くことを選んだ桜子。

この企画でヒロイン視点の話は珍しいので、他には無い重さがを感じました。