いざ、帰還!
「ちょっと、疲れがでてきたかなぁ?」
私は思わず口走りました。
……いや、いいんですよ。
この疲れは、楽しんだ故の疲れですからね。
公園で遊んだ後には、泥だらけになるじゃないですか。
対価ってやつですよ、何かを差し出さなくては、何も得られないんですから。
……重っ。
自分で言っておいてなんですが、重すぎないですかね?
まあ、それを疲れのせいでしょう。
アレもコレも疲れのせいです。
今日も、疲れさんに全国から身に覚えのない責任の数々が寄せられて来ていますよ。
かわいそうに、御愁傷様です。
まあ、ただでさえ慣れない機械を使用しているんですから、そりゃ疲れだって出てくるものですよ。
今日はこれぐらいにしておいておきましょうかね。
……なんか悪役の捨て台詞みたいになっちゃいましたね。
帰りましょう、広場へ。
……スライム倒しただけですけど。
「ただいまぁー」
私は広場の入り口でそう言いました。
思わず口に出ちゃいましたね、これは恥ずかしいですよ。
『おかえりぃー』
えっ!?
あっ、見ず知らずの方が返してくれましたね。
「あ、ありがとうございます!」
急に敬語!!
コミュニケーション能力のなさが露呈しちゃってるじゃないですか。
いやいや、ありがたいですよ、あったかいじゃないですか。
さっきの槍使いの方といい、全体的にフレンドリーな方が多いですね。
ゲームシステムは不親切なのに、プレイヤーは親切ですよ。
いや面白いですよ、素直に面白いじゃないですか。
口元が歪み始めましたよ。
端から見たら何こいつニヤついてんだ、って感じですが。
とりあえずまあ、一日目?
ですかね、遊んでみた感想といたしましては……。
問題作。
です、一言で言えばこのゲームは。
しかし、しかしですよ。
私はまだこの問題作という氷山の一角を目の当たりにしているにすぎないんですよ。
果たしてその水面下にはどんな怪物が潜んでいるのでしょうか。
楽しみです、純粋に楽しみです。
口元がさらに歪みます、福笑いです。
もういくつ寝ると……正月!
まあ、私は毎年寝正月なんですけど。
……何をほざいているのやら、テンションの上昇が私をそうさせているのではないでしょうか。
それでは名残惜しくもありますが、現実世界に戻りましょうか。
大丈夫です、また明日会えます。
会いに行けるプレイヤー、それが私です。
どこのご当地ヒーローですか、遊園地で私と握手じゃないんですよ。
……はい、じゃあログアウトしましょう。
現実にログインしたくないです、でもそれは避けて通れない。
このゲームを楽しみに、明日も一日頑張ろうじゃありませんか。
……さらば!
私はよく分からない掛け声と共に、ログアウトを選択しました。
問題作は少女を乗せて。 ジョン @jon5
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