いざ、アイテムドロップ!

「さあ、じゃあ先に進みましょうか!」


私は剣を鞘に納めると、そう言って歩き始め……ませんね。


どうしたんでしょうか、またラグですかね、勘弁してほしいですけど。


『スライムの皮を入手した』


あっ、まだ戦闘終了の処理が残ってたんですね。


すみません。


……いやすみませんじゃないですよ。


なんで処理が終わるまでその場から動けないんですか、おかしいじゃないですか。


強制的に石化状態になってるじゃないですか、メデューサと瞳を合わせた覚えはないんですが。


……まあ、幸いこの辺は他にモンスターいないっぽいんでいいんですけど、いる場所だったらどうするんですか?


襲われたら何も反撃できませんよ、ただのデコイじゃないですか。


なんですか、チュートリアルでよく使われる的の人形ですか、私は?


ホント勘弁してくださいよ、そういうところですよこのゲームのたまにキズなところは。


まあ、そこすら最早愛おしく感じますよ。


……今のがデレって奴ですか。


ツンデレデビュー、しちゃいました。


……知らねぇよそんなの、って感じですけど。


なんですかその冷やし中華、始めましたみたいなのはって感じですが。


まだ残暑には早いですよ、夏を先取りするのはもう少し待ってあげて下さいよ。


……で、何でしたかね?


スライムの皮……ですか?


まあ、いわゆる倒したモンスターに応じて獲得できるドロップアイテムって奴ですね。


そう、スライムの皮。


……。


スライムの皮!?


……時間差。


時間差で衝撃が来ましたよ、これもラグの一種ですかね。


大丈夫ですか時差ぼけは、時計を確認しましょうよ。


皮ぁ?


スライムに皮って存在するんですかね?


ちょっと生物は選択科目じゃないんで、その辺の知識が足りてないんですが。


いやいや、生物関係ないですよ。


モンスターじゃないですか、空想状のなにがしですよ。


……まあ定義がないなら、スライムに皮が存在していても何もおかしくはない、ということですかね?


じゃあアレですかね、水風船みたい感じの体構造なんですかね。


現実世界のスライムみたいな粘性のあるゲル状のやつじゃなくて。


……それは最早スライムと言えないんじゃないでしょうか?


スライムの姿をしたモンスターだから、スライムなんじゃないんですかね?


……ちょっと混乱して来ちゃいましたよ。


勝手に状態異常になってますよ、ステータスの横に「こんらん」って表示されちゃうじゃないですか。


勘弁して下さいよ、治療薬持ち合わせてないですよ。


……まあ、その辺の個性的な感じも、この作品ならではの魅力なんでしょうかね。


意外な部分で他ゲームとの差別化をはかるのかは重要なことじゃないですか。


……果たしてこれが正解なのかは分かりませんが。

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