第15話

 四月。

 受け持っているクラスが3学年に全員進級した。



 そこで、これまでの二人の関係を大きく震撼させる出来事が起きた。


 ウチのクラスに一人の転校生がやってきた。


 栗色の短い髪、長身で、爽やかな出で立ちの青年だった。

 彼の名前を聞いて、驚愕したのだ。

亜希頼あきたよ うたです。久しぶり! さくらちゃん!!」

 綺麗に並んだ白い歯がキラリと光った。


 驚いて立ち上がり椅子をひっくり返した春川。

 桜の木の下で約束した、春川の思い出の人とは、僕ではない。

 彼だったのだ。



 思い出通りの青年との再会。


 いや、僕としては、春川と彼の甘酸っぱい恋愛模様を応援したいところだった。

 しかし、僕の方にも由々しき事態が訪れたのだ。


 三角関係が勃発すると、思っていただろうか?

 否、そんなもんじゃない。



 同日、教育実習生の自己紹介が、今までの平穏をぶち壊した。

 長い黒髪、眼鏡、僕の後ろを大人しくついてくるような、可愛らしい彼女は、徹甲弾を僕の心に撃ち込んできた。


遥和佐はるかわさ 暗子くらこと申します。不束者ですが、よろしくお願いしますね、ヨウ君」



 完?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

◇葉桜の君に◇ ぎざ @gizazig

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ