「ラノベって、こういうのがいいよね、軽くて」
と思わされた作品です。
軽く読めて、笑って、泣ける。
ラノベのお手本にしたい作品だと思いました。
話は軽いんですが、作者さまが元県警だったらしく、事件対応への具体描写は本格的です。
業界用語が飛び交ってるのも興味深いです。
複数事案が並行して起こり、収束していくノリは『踊る大捜査線』に近しいものを感じます。
しかし、世界観は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を越える異世界。
新人巡査のユリウスは、ガーランド王室の次男。
上司はワーウルフの犬飼部長。「犬のお巡りさん」と呼ぶのは基本NGですが、子どもに大人気です。
リザードマン(男性)は昼食にサラダ食べ、オーガー(女性)は経理課長等という、絶妙な種族配置もステキです。
ライトなんですけど、考えさせられる社会問題が背景にはあって、「公」の仕事について考えさせられました。
ちょくちょく挟まってるとおり、バカバカしいこともたくさんあって、いろいろ同時に起こるのも、あるあるだなと、共感できました。
ある日、異世界の大陸が日本に出現し、そこから始まるオムニバス?群像劇?のような物語。
設定は昨今比較的よく見られるものですが、中身は違います。
戦争や無意味な争いなど無く、むしろ治安を維持する為に、異世界の様々な種族が警察官となり、地域の治安維持に努めるちょっと変わったお話しです。
某テレビ番組の如く、警官たちの活躍を描きますが、そのリアリティに関して言えば、作者は本職の警察官だったのか、それとも現職なのかと思わせる程に、リアルです。
思わず「へえ、そうなんだ」と思ってしまうシーンもあったり、刑事ドラマとも違う、制服を着た警察官が走り回ったりもします。
無銭飲食や窃盗など身近にある犯罪であるのも、無理が無くて楽しめる要素になっているのでしょう。
チートなんてありませんし、それぞれの種族が持つ能力の範囲内、そして日本人も勿論そんな中で活躍します。
タイトルやキャッチコピーからは伝わらない、シンプルで無駄のない物語ですので、より多くの方にお薦めいたします。
思っていたのと異なりとても楽しめる作品でした。