第3話 場所を守りし者



「私は"きょう"、此処の神だ」


「はぁ!?」



思わず間抜けな声を出してしまった。だが不可抗力だった。此処の神、など言われて驚かない奴が居るなら会ってみたい。だがここまで堂々と言われると嘘かどうかさえも疑う。


「五月蝿い、大きな声を出すな。鬱陶しい。」


俺の混乱など気にせず偉そうに見下ろしてくる。だが神様が此の世に居る訳がない。俺はそういうものの類いは信じて来なかった。


「う、嘘つけ。か、神なんている訳無いだろ。」


「何?」


これが精一杯の抵抗だった。目の前の神もどきは明らか不機嫌そうな声を出す。頬杖をついて俺の事を品定めするかのように見下ろしてくる。謎の威圧感があって息苦しい。


「ふんっ、良いだろう。特別に私が神という証拠を見せてやろう」


そう言うと突然、目の前の神は徐に立ち上がり、ゆっくりと落ちて来た。


ゆっくり、ゆっくりと落ちて来たと言うより、舞い降りて来たの方が合っている気さえする。

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一週間だけの神隠し サバ缶。 @2639558915369

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