第7話 猫と魔女と到着
しばらく空を飛んでいた私たちは森を抜け、広大な草原に出た。目線の先には街が見える。
「クロ見える?あそこが目的地のジニアだよ。」
「まだハッキリとは見えませんが、いくつかの建物は見えます。このままあの街まで向かうんですか?」
「いや、街の少し手前で降りるよ。魔法があっても、突然空から人が現れたら普通の人は驚くでしょ?」
それはそうだ。誰だって驚く。もしもそんな場面に遭遇したら、日本なら誰もが「親方!空から女の子が!」って叫ぶに違いない。
「一度でいいから言ってみたいな……。」
「うん?何か言いたいことでもあるの?」
「あっ、いやなんでもないです。」
「そう?それならいいけど。あと少したら降りるからね。」
「分かりました。」
※※※※※※※
その後、街がハッキリ見えるくらいまで近づくと私達を乗せた箒は街へと続く道へ降りた。
「それじゃあ、ここからは徒歩ね。まぁ、そう言ってもクロは私の肩にそのまま乗ってればいいんだけどね。」
「重くないですか?私も歩けますよ?」
そう言って私は彼女の肩から降りようとしたが、身体が動かなかった。そういえば魔法で固定されてるんだった…。
「大丈夫だよー。それに降りると会話もしずらくなるでしょ?」
確かに猫である私と彼女では高さが違って、会話をするにも距離が出来てしまう。まだ私は大きな声を出すもの慣れていない。
まぁ…どっちにしろ彼女が魔法を解かない限り私は降りれないんだけど。
「分かりました。ではお言葉に甘えて。」
「OK!それじゃ街へ行こう。」
シロエは手に持った箒を自らの影へと入れると、街へ向かって歩き出した。
道を進むとそのまま街の入口であろう門があり、そこを通ると街へと入ることが出来た。
「到着~~!ここがカノール王国の南都ジニアだよ。」
「無事に着きましたね。」
周囲には日本の一軒家の同じくらいの高さの建物がいくつもある。
門から続いている道は人で賑わっていて、出店が並んでいる。
そして、至る所で花が咲いていた。
「南都って言ってましたけど、方角で別れてるんですか?」
「そうだよー。カノール大国は4つの都市に分かれてるの。中央に位置する王都カノール、北都スイレン、西都ソニア、そしてここ南都ジニア。」
王都、北都スイレン、西都ソニアか…。
「あれ…東はないんですか?」
「ないよ。カノール王国の東は標高が高く険しい山がいくつものある場所なの。まともに人が住める場所じゃないわ。」
シロエの説明に私は納得した。
空を飛んでいた時に東側にいくつもの山の影が見えたから、恐らくそこのことだろう。
「それで、この後の予定は?」
「とりあえず、まずはギルドに向かうわよ。」
「ギルドですか?」
ギルド…、聞いたことはある。
「うん。この世界は冒険者を生業にして正解してる人が多いから、依頼をまとめているギルドがあるの。ギルドは冒険者だけでなく色んな人が使っていて、おすすめの宿の紹介とかもしてくれるんだよ。」
その説明で以前に読んだ漫画でそれっぽいものがあったなと私は思い出した。
「なるほど…。それで、私達は何しにギルドに行くんですか?」
「とりあえず、挨拶と宿の紹介。ここジニアのギルドマスターは昔の知り合いの関係者なんだ。せっかくだから、いい宿を紹介してもらおうと思って。」
「確かにそれは重要ですね。それにギルドがどんな感じの所なのか気になります。」
「それは着いてからのお楽しみってことで。」
私達は通りを歩き、ギルドへと向かった。
転生猫と異世界の魔女 御上 零 @rei0753
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生猫と異世界の魔女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます