カムパネルラの家②




 お母さんの体調は相変わらずだが、父さんが帰ってきたことによって家の空気感は前より随分良くなったように感じる。


 お父さんもカムパネルラが死んだことに対して酷く悲しんでいたが、もう立ち直ったのか、最近は普段通り過ごしていた。


 僕だけがおいていかれている。


「ただいま」

「今日は大丈夫っだったのかい?」

「おかえり」


 僕が玄関から声を出すと家の奥から母さんの声が聞こえてくる。


 お父さんの声が聞こえてくるのが未だに慣れない。


 しばらくはこっちにいるらしかった。


「早く準備をしなさい。早く出るよ。向こうを待たす訳にはいかないからね」


 お父さんが居間から顔を出していった。


「はい」


 僕は鞄をおろして服を着替える。


「できたら、あたしも行きたいのだけれど、ごめんなさいね」

「大丈夫だよお母さん。体が良くなることが一番だからね。僕がしっかり挨拶してくるよ」


 申し訳なさそうにするお母さんに僕は言った。


 お父さんも一緒に行くことになったので、お父さんは僕のことを待ってくれている。お父さんは約束通りラッコの上着だって僕にくれた。


「できたよ」


 僕は準備を済ませてお父さんに声を掛けた。


 それから玄関を出てカムパネルラの家に行く。


 空は鉛のような重たい色をした雲に覆われていた。



     ◇      ◇


 カムパネルラの家は大通りを少し外れたところにある大きな洋館だ。


 カムパネルラのお父さん(以後、博士)の前の題からここに住んでいると聞いたことがある。

 それだけの年月が立っているのにも関わらず、カムパネルラの家は綺麗だった。


「いらっしゃい。ゆっくりしていってくれよ」


 博士が玄関で出迎えてくれた。

 このくらいの洋館となれば下働きがいるだろうから、その人が迎えにくるのだろうとばかり思っていたが、博士だった。


 もしかしたら、お父さんとの久しぶりの再開を喜んでいるのかもしれない。


「カナナイオス。僕のところには手紙が届いていたけれど、子どもたちのところには送らなかったのかい? ジョバンニくんも君の奥さんも心配していたよ」


 博士がお父さんに聞いた。


「済まない。家だと正確に届くかもわからないし、俺がよく思われていないことくらい知っていたからね。家族には済まないと思っているが送っていないよ」


 お父さんが俯き気味に言う。


「僕はもう気にしてないよ。だってお父さんはもう帰ってきたじゃないか」


 僕の言葉に安心したのか、博士もお父さんも中へと入っていく。


 僕も後を追うようにして、家に上がった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


圧倒的遅れ。


カナナイオス調べてたら遅れました。

カナナイオスはジョバンニの父親の名前です。


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これからよろしくお願いします。


 


 

 

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続・銀河鉄道の夜 永坂 友樹 @1800236

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