名もなき日記

 私は未来を知ってしまった。

 未来では、ロアテラによってこの世界は飲み込まれ、無残に引きちぎられることを……

 やっと、やっと、私は戦乱の世に落ちていたこの世界を一つにまとめ上げたのに、再び引きちぎられるのか?

 そんなことはさせない、考えろ、考えろ……私ができることはないか……

 

 ロアテラは「魂の輝き」を狙ってやってくる。ならば、魂の輝きさえなければいいのではないか?

 この世界の人々は、本を読むことで今まで希望を見出してきた。希望や夢を持つのも、全ては知識があるから欲望を得て、そこから生まれてくるのだ。

 もしかしたら、それこそがこの世界の人々にとっての「魂の輝き」なのではないか?

 そもそも、戦乱が起きたのもすべては本が始まりだ。最初からなければこの世界は戦乱なんて起きなかったのだ。

 ならば、この世界に欲を持つ存在は不要だ。それは私自身も同じこと。

 私自身はこの世界を存続させ続けるものとなろう。すべてを管理しよう。

 そして、民はただ安らかに、平穏に暮らしなさい。


 たとえ、それが私自身の自我すらなくなり、ただの世界の理システムになるとしても……。

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夢幻のナーサリーライム 輪月四季 @watsukishiki

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