収められた一冊の本

 ここでは実際にどのようにロールプレイ、つまり物語を綴ればいいのか、という見本を掲載しています。

 これらを参考にして、ぜひペアだけの物語を綴ってみてください。





▼その1(ドールの詩集)

 ふふ、よくいらっしゃいました。私のかわいい子。

 今日もまた、私達のドールを愛でる物語を、一緒にしましょう。

 さあ、この紅茶をどうぞ。ゆっくりと話をしましょう。


 変わらない

 あなたはいつも変わらない

 白い肌は何時までも白く

 その美しい瞳はいつも変わらず輝いて

 風にたなびくその神はいつも変わらず美しい

 あなたはきっと、永遠ね


 だけど変わり続ける

 変わらないあなたも変わってる

 その瞳は昨日と違う輝きを秘めていて

 風にたなびく姿もいつも違う

 私に毎日違う顔を見せてくれる

 あなたは何時でも変わり続けているのね


 変わらなくても毎日違う

 変わるものでも毎日同じ

 それが私の愛する子


 ふふ、聞いてくれてありがとうね。

 さあ、今日はこれからどんなことをしましょうか?あなたのドールもきっと、遊びたがっているわよ。昨日とは違う顔を見せてくれるわ。

 ここなら何でもできる夢の世界だもの、一緒に愛しましょう遊びましょう

 




▼その2(超能力のバトルもの)

 静かな図書館で本に指を滑らせていると、声が聞こえてくる。

 どうやら、あの子がやってきたようだ。

 トタトタ、と可愛らしい足音がこちらにかけてきて、そのまま抱き着いてくる。

 こんにちは、どうやら今日も、私の好きな物語を聞きに来たみたいですね。

 抱き着いている彼の背中を優しくなでてあげる。その温もりを感じる。

 嗚呼、この温もりこそが、私にとって、暗闇の世界にいる私にとって、光なのだろう、と。


 彼を膝の上に乗せてあげる。さあ、今日もまた、物語を、私の好きな物語を教えてあげよう。昨日の続きを彼に教えてあげよう。

 昨日は戦いの舞台へと招待されたところでしたね。なら、その戦いの始まりから紡ぎましょう。

 本に記されている点字を滑らせていく。何度も何度も呼んだ、指を滑らせなくても一字一句覚えているその文を……


 不敵に笑みを浮かべる。どんな相手が来ようと負けるつもりはない。俺たちは願いを叶えるためにこの戦いに挑んでいるのだから。


「へえ、そうですか。なら、俺の攻撃を耐えられますよね!『大地を踏み抜くものグラン・フット』!!」


 その言葉とともに、相手の姿が消える。

 これは、重たい一撃が来る!!


「アヤメ、離れろ!」

「キャッ!」


 アヤメを階段の方に放り投げる。今のままでは受けきれないと判断したからだ。自身の胸に向けて殺気を感じる。攻撃が、来る!

 鋼鉄の包帯をまとった両腕を交差して、衝撃に備える。


 ガキン!!


「ぐ、ぬううううう!!」


 次の瞬間、交差した両腕に強い衝撃が走る。

 鋼鉄の蹄と鋼鉄の包帯でできた篭手、その二つがぶつかり合った甲高い金属音が辺りを響き渡らせる。どうやら、相手は飛び蹴りをかましてきたようだ。やはり、相手の武器は足、素早い動きと高く飛び上がれる脚力、そしてこのキックの力。それにこの蹄も、軽々と振るっているが、実際は見た目通りの重さがある。受け止めた両腕の骨がきしんでいる。そのまま受け止めていたら、きっと胸にその足跡を刻んでいたことであろう。


「まあ、そうですよね、これくらいの攻撃は耐えてもらえなくちゃ、面白くありませんからね」


 そう言いながら相手は軽口をたたいて直立不動で立っている。


 待て、直立不動だと?


 今、相手は俺に向かって飛び蹴りしている。当然、ずっとそのままでいられるはずがない。なのに、既にやつは飛び蹴りの体制から両足をしっかりとつけて立っている。そう、俺の両腕を足場にして立っているのだ。それも、交差した両腕の上に、ではなく、飛び蹴りを受け止めた部分を足場にしているのだ。

 こんな状態では重力に従って地面に落ちるはず。なのにやつはまったく落ちる気配無く、優雅に俺を見下している。


「この足は本当に素晴らしいですよ。早くなるのはもちろんのこと、跳躍力も持続力もある。そして何より……。この足でついた場所が地面となるのです。足は地面を踏みしめるもの、なら、この足でついた場所こそが地面であり、そこに向かって重力が生じるのも当然ですよね?」


 そういう、ことか!

 やつの足の力はただ単に脚の力が上昇するだけではない。

 足の役割、つまり地面を踏みしめる、という役割そのものが力となっているのだ。故に、既に飛び蹴りを受け止めた後もずっと続くこの圧力は、重力そのもの。今、やつの足と接している俺自身が重力に抗っているためだったのだ。


 このままでは、地面に這いつくばり、そのままあの鉄の蹄で踏み抜かれるだろう……。

 俺の力だけでは、対処できない……なら!


「アヤメ!! 俺の声のする方向にやれ!」

「は、はい!」


 パアン!!


 俺がアヤメに合図すると同時に、俺の体にボールが投げられる。それは、赤いカラーボールだ。この戦いの日々が始まってすぐに彼女に持たせたものである。

 確かに彼女は眼が見えない。でも、彼女は視覚がない代わりにほかの感覚が鋭い。だから声をかければ、そちらの方向に投げることもできるのだ。

 彼女が投げたカラーボールよって俺の左側は赤いインク塗れになる。当然、やつが足場にしている俺の包帯にも赤いインクが飛び散っている。

 これでいい、これであとは……


「ジェダルを、傷つけないで!!」


 そうアヤメが叫ぶと同時に、体中が熱くなる。そう、彼女の『視格者』としての力が発動したのだ。

 今の俺の体は鮮やかな赤塗れ、赤は彼女にとっては炎、熱を表す色である。つまり今、俺の衣服には炎の性質、つまり触れれば燃える性質が付与されているのだ。


「つっ!あっつ!!」


 確かに新しく得たあの足は武器であり、神のパーツ奪ったものである。だが、それと同時にあれはやつ自身の足なのだ。それ故に触覚だって確かにあるのだ。そして、熱い感覚がればおもわず離れる。全く、当然のことだ。


「とりあえず、まずは一発、受け止めやがれ!!」


ドゴッ!


 熱さで一歩後ろに下がって怯んでいるところに、すかさず一歩前に出てその紅蓮に染まった拳で殴りつける。それに耐え切れず、そのまま遠くの壁まで飛んでいく。どうにも、彼女の眼で見られたものをまとっていると、普段よりもよく動けるようになっている。だからこんな漫画みたいに相手を吹っ飛ばせてしまっている。


 これだけ吹っ飛ばしたら普通なら気を失っているだろうが、どうにも簒奪者の方も神のパーツの影響か、頑丈になっている。少ししたらあいつも目を覚まして再び襲ってくるだろう。

 すぐにアヤメの元に駆け寄ると、右腕で彼女を抱き寄せる。


「ちょ、ちょっと、ジェダル!」

「いいから黙って俺の傍にいろ、まだやつは倒れていないんだからな」


 そう、今運よくできたこの時間、これを使って俺の世界を描く。

 この戦いに勝つための俺の世界を……。



――――引用「夜天の瞳に映すもの 第3話:視格の力」


 さて、今日はここまで。

 ふふ、まだ闘いの続きで気になるでしょうけど、それは後のお楽しみです。

 それでは、少しゆっくりしましょうか。あなたにははっきりと見える瞳があるもの。

 この世界を、美しい世界を見て、そして私に教えてね。この物語の彼らのように、貴方だけの一枚の絵物語をね。




▼その3(銀剣のステラナイツの恋愛)

 宣誓生徒会の総帥に導かれて、アーセルトレイ以外の世界、異世界へと転移される。

 転移された場所はどうやら図書館のようであった。無限にあると思えるほどの本が整然と収められており、静かな空間がとても心地よく感じられる。

 そして、ここの世界の管理者にして司書であるヨミさんに話しを聞き……


「なるほど、この夢の世界では、エタニティの子供たちのために本を残せるのですね」


 どうやら、私達のように異世界から来た人たちには空白の書に書くことで物語をこの図書館に残せるようである。

 そして、そこに残った本はエタニティの子供たちの希望にもなる、と……


「そういうことであれば、ぜひ残してあげたいですね。そして、残してあげるのであれば……そうですね、○○。以前の学園祭の前夜のことなど、どうでしょうか?」


 そう言って、渡された羽ペンにインクをつけて物語を、私達の経験を、思い出を紡いでいく……



 もうすぐ陽が沈んだ校舎、その中の武道場では気迫に満ちた声が聞こえてくる。

 本来であれば学校の生徒たちはみんな下校している時間である。しかし今日は学園祭の前夜。どの生徒も明日の学園祭のための準備を進めていた。

 そして、この武道場にいる剣道部は学園祭で演武を披露することになっている。

 演武と言っても木刀を用いたもので、稽古のような形式でもある。

 そして、その剣道部の顧問である私は、その稽古を見守っていた。


「そこまで!皆さん、お疲れさまです。これ以上は明日に響きますので、明日もこの調子で、しかし気を抜かずに行いましょう」


 そうして、あいさつの後、生徒たちは下校の準備に取り掛かっていく。

 それを見ながら、私は彼女のことを、生徒であり妹でもある彼女のことを思い出していた。


「○○は、帰宅部ですし、もう帰ってしまっているのでしょうね……」


 そう思うと、少しさびしさも感じられていた。





 総帥に導かれた先は、無限とも思えるほどに大きな図書館だった。


「……私達が、本を書く……?」


 それは、あまり身近ではない、不思議な言葉だった。

 学校ではたしかに文芸部やら漫画研究部などがさまざま存在し、物語を綴っている人がいる。

 でも、そういったことは――少なくとも今までの私には無縁だった。

 ああいうものは、文章や絵の巧みな人が書くもので、なおかつ何かを人に伝えたいという「思い」がある人だけなのだ。


 そう、思っていた。私のブリンガーである彼に促される、今の今までは。



 陽が沈みかけた校舎。

 学園祭の準備でにぎやかな生徒たちを避けるように、私は人気のない道をとぼとぼと歩く。

 さまざまな生徒たちが、さまざまに事情を抱えているこの学校においても、私は浮いていた。要するに問題児だ。

 その問題児に対しても面倒見のよい――悪く言えばおせっかいな――担任教師はこう告げた。


「学園祭でもあの先生を頼ると良いですよ」


 ……この学校で私が唯一心許せている人。その人にちゃんと頼りなさいと、担任は言っている。おせっかいめ。


 確かに私は帰宅部だし、とりたてて仲のいい仲良しグループもいない。

 だから明日の学園祭で私が居心地を悪くしていることだろう、とでも思ったのだろう。

 ……そして、たぶん、いや、きっと、まぁ私が欠席でもしない限りはその予想は当たる。


 だから私は、こうしてとぼとぼと『先生』が顧問をしている剣道部の道場へ向かう。


「……あ」


 そして、その姿を見つけた時、おもわず――


「…………兄さん」


『学校では呼んではいけない呼称』を使ってしまい、私はうつむいてマフラーに顔を隠す。

 幸いにも道場には『先生』だけのようだったが、誰かに聞かれていないとも限らない。

 どうして、なんで、いつもこう上手くできないのだろう。





 ○○の紡いだものを読んでいく。

 そのつづった文章には、彼女自身の「思い」が感じ取れた。

 彼女の重く、沈んでいたころの、そして今なお刻まれている、そのの傷を……。

 その傷を見ると、心が痛む。彼女に傷をつけてしまった自分が苦しくなる。

だけど、だからこそ、あの時の想いを、ここに綴り、伝えよう……。


「○○……大丈夫、大丈夫ですよ、さあ、では続きを紡ぎましょう」



 学校では本来聞くことのない呼び方が聞こえてくる。

 どうやら、彼女が来たようである。

 その顔はマフラーで隠れていて、はっきりとは見えていない。

 ちょうど生徒たちは全員帰った後であるため、今の呼び方も誰にも聞かれることはなかったであろう。

 顔を隠してしまっている彼女のもとへ、歩いていく。


「○○、学校にまだいたのですね」


 本来は学校であり、○○さん、と呼んでいるが、周りには気配はないのは把握していた。

 それに、今の彼女には、学校内での呼び方よりも、本来の名前で呼んであげたほうがいいのであろう。

 彼女を、今はふたりだけであると、安心させるために……。


「ここでは寒いでしょうから、道場で少し休みましょうか」


 そう言って彼女を呼びかける。

 その際に少しマフラーから彼女の顔がのぞかせる。

 その美しい顔には、大きな傷跡が残されている。

 先日の戦いで、彼女に残してしまった傷が……。

 その傷を見ると、申し訳なさが込み上がってくる。彼女を、傷つけてしまった、と……。

 そして、だからこそ、彼女を一人にはしてはおけない、とも……





 私の綴った文章を見せて、また続きを書いてもらう。

 書けたものはとても重たく苦く痛いものなのに、なぜか不思議な楽しさがあった。

 大切な人に、想いを伝えるというのはこういうことなのか。


 書き上がった文章を見せてもらって、私はふわりと笑う。

 いつもありがとう。

 大切な、兄さん。いつもありがとう。私のことを気にかけてくれて、ありがとう。

「……続き、書くね」



「……うん、そうさせてもらうね。……失礼します」

 神聖な場所ということで、私は形ばかりではあるが礼をしてから剣道場に入る。


剣道着を着ている兄は、なんというのだろうか……和服がとても馴染んでいる。それが本来あるべき姿に近いとでもいうか、そう言う印象を受けるのだ。


「剣道部も学園祭の準備だったんでしょう? お疲れ様」

 そう言って、私は薄い学生鞄の中から、可愛らしくラッピングされたお菓子を取り出す。


「これ、さっき同じクラスの人にもらったの。兄さんにあげる」

 味見してほしいと言われて渡された品だが、一つだけ食べて味の感想はちゃんと伝えてある。私よりも、兄さんに美味しく食べられたほうが多分この菓子もよっぽど嬉しいだろう。―――これを渡してきた人達も、多分それを見越して私にこれをくれたのだから。





 彼女の想いが綴られた文章を読んでいく。

 先程、私の文章を見て柔らかく笑っていたのが見えた。

 私の想いが、彼女にも確かに届いているのかもしれない。そう思うと、まるで交換日記のように二人でかつてのことを書いていくのはいいものであると感じられる。


「さて、それでは続きを書きましょうか」

 彼女の書いた文章の後に再びペンを滑らせていく。

 その時、かつての記憶、そして彼女と作られていくこの物語を思うと、自然と微笑んでいた。



「私は剣道部の生徒を指導しているにすぎませんよ。その指導を受けて頑張っているのは生徒たちですからね」


 そう言いながら、お茶を用意していく。部員たちが水分補給ができるようにポットなども用意されている。それを使ってお茶を時々飲んでいるのである。

 兄さん呼びから、どうやら○○も周りに人がいないと感じているようである。

周りに人がいないことで落ち着いているのであれば一安心でもある。


 そして、準備を終えて戻ってくると、彼女からお菓子を渡された。

 可愛らしくラッピングされたもので、恐らく文化祭のものであることが分かる。


「同じクラスの方からもらったものですか、ありがとうございますね、○○」


 ラッピングされたお菓子を開けてみると、中からはほんのりと甘く、香ばしい香りがしてくる。どうやらクッキーのようである。

 学園祭として出すものであるためか、彼女のクラスのお店におけるマスコットのイラストが入っていた。

 その中の一枚をつまみ、一口。

 クッキーとしてのサクサクとした触感とともに、口の中に甘みが広がる。

 アーセルトレイに来る前の世界では甘味は貴重なものであり、ここでは当たり前のように食べられているものもまた貴重なものであった。

 そして隣には、私にとって大切な○○がいる。

 だからこそ、このクッキーもまた、とてもおいしく感じられた。


「とてもおいしいですよ、○○。きっとこれなら、来た人も喜んでくれますよ」


 そして、一つクッキーを摘まみ上げ、彼女へと差し出す


「○○も、どうぞ。一緒に食べたほうがきっと、より美味しくなりますよ」





 兄さんがつづきを書いている姿を、私はじぃっと眺めていた。

 こういうのをなんていうんだったか。

 学校で同じクラスの子が交換日記をしているのを見たことがあるが、それと近いのかも知れない。

 特別に仲のいい子同士だけで、お互いのことを包み隠さず書くという、なんとも甘酸っぱさのあるその行為に、近いのだ。

「……この文章は、この世界の子どもたちのために書いているものではあるけど……」

 私はおずおずと、その言葉を口にする。


「今このときだけは、私のためだけに書かれているみたいで、それが……嬉しいなって」



 お菓子は学生の手作り。しかもレシピも検索すれば出てくるようなごくごくありふれた品で、材料だってそこらの大型スーパーで買ってきたようなものだ。

 食事は栄養を取るためにあると思っている私にとって、それは、小麦と砂糖と油脂の塊に過ぎない。


 けれど。


 兄さんが食べている『それ』は――とても魅惑的で、美味しそうに見えた。


 だから、兄さんが差し出してくれた『それ』を、私は


「はむっ……」


 そのまま顔を近づけて、一口かじり取り、咀嚼する。

 ……美味しい。


 とても甘くて、とても優しくて、魂が癒やされるような、美味しさだった。

「そうね、美味しいね」





 私のためだけに書かれているみたい

 その言葉に、私自身の中で腑に落ちた。

 ああ、確かにこれは将来的には子供たちに残すものではある。

 だけど、今、この瞬間だけはこの物語を読んでいるのはカナリアだけ

 ならばこの文章は確かに……


「確かに、今この時は貴方のためだけの物語ですね」



 彼女の手のひらに手渡すつもりであったそのクッキー。

 だが、カナリアは私自身の予想とは違い、私が手に持っているままで一口、食べた。


 その時、顔を近づけたことでその顔に刻まれた傷がはっきりと目に映る。

 それは、私か闘いの中、危機が迫ったことで彼女に負わせてしまった傷跡。

 彼女に刻み込ませたくなかった、その顔に刻み込みたくはなかった傷跡

 だけど、その後、彼女の美味しいね、という言葉が、かつての、幼いころ共に過ごしたあの時を思い起こさせる。


 ああ、たとえ姿が変わっても、彼女は確かに私の妹なのだ、と

 一緒に楽しいことも、辛いことも一緒に分ちあった妹なのだと、はっきりとわかる。


「ええ、そうですね。でもこの美味しさもきっと、二人一緒だからこそ、ですね」


 そして、私もまた一緒に一口、齧る。

 彼女とともに同じ味を感じる、分ちあう。


 彼女とともに過ごす、それは彼女のためでもあったが、同時に私にとっても、あの時のように分ちあえることがとても救いになっているのですよ



(ここで羽ペンは終わっている。傍には食べかけのお茶菓子が置かれていた)



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