学生の時にしか書けない文章があるように
自分自身が一定の状態でないと書けない文章がある。
この作品を一言で言うなら、そういうことになるだろう。
ある作品に感銘を受け自分も
と創作を始める男を主人公とした私小説。
私小説はある結論が出た状態から
過去を俯瞰しその解釈を小説に組み込むのが普通だと思う。
過去は変わらないが解釈は変わる。
同じ過去でも売れてる状態から見た過去と
売れていない状態で見た過去は違う。解釈が違う。
作者は売れた後、この作品を消すかもしれない。
その頃には過去の解釈が変わってしまっているに違いないから。
そういう意味では貴重な作品。
この作品に特に惹かれ共感するのは
作者と同じような状態にある人間だろう。
そして、この作品に惹かれた人間の一人である私自身も
恐らく同じような状態にあるのだろう。