第2話 ある日いきなり顔が真っ赤に?

ゆうこさん~、僕のすぐ後ろの席に座ってる

休み時間になるたびに僕は後ろを向いていた

ただ気の合う”友達”っていう感じなのかな

でも家に帰っても、ゆうこさんのことばかり

明日はどんな話をしたら喜んでくれるかな~

何か可愛い消しゴムや下敷きとかないかな~

スヌーピーやディズニーやキティちゃんか~

ああそうだ!洋画が好きだって言っていたな

スクリーンとか映画の雑誌を読んでいるとか

よし親に買ってもらって学校持って行こう!

「はい!ゆうこさんの好きな映画の雑誌だよ」

「わあ、貸してくれんの?今月号未だなのよ」

「いいよ、あげる、僕も読んでしまったしね」

「ありがとう、いいの~?もらっとくわね~」

そんな他愛もないような会話でも僕にとっては

すごく嬉しくて楽しくて大事なことだったんだ

ワルガキの級友たちが僕とゆうこさんが楽しく

話してるのを見て、

「おっ!お前ら似合ってるな、夫婦みてえだぜ」

「そうだ、そうだ、イチャツキやがってよお~」

「早く結婚しろ~~~!」などと冷やかされた

だけどそれもまた僕にとっては何か嬉しかった

ゆうこさんも恥じらいながら、

「何よ~~、バカぁ~!」って叫んでいたっけ

春の日差しがポカポカと温かく、中庭の木々や

草むらをそよそよと心地よい風が揺らしながら

教室の窓から入って来た

木漏れ日に煌めいて、ゆうこさんの髪も優しく

揺れていた

僕にはその場面が中学校の思い出の中で一番に

印象深く輝いて脳裏に焼き付いて離れない

まるで昨日の事のように情景が巡って来るんだ

そんな楽しい毎日もアッと言う間に一年が過ぎ

二年生になって、ゆうこさんと別々のクラスに

別れ別れになってしまった

休み時間になってもポツンと独りぼっちだった

元々に小心者で恥ずかしがり屋で大人しい性格

だった為に、いつの間にやらクラスのワルガキ

どもからイジメられ出していた

イジメは段々にエスカレートしていった

帽子をグシャグシャに潰されたり学生カバンを

カッターで切り刻まれたり教科書に落書きとか

されたり・・・

そのうち歩いてるとわざと足を引っ掛けて転倒

させられたり、掃除の時間になると雑巾投げや

ホウキでバシバシ叩かれたり、酷いもんだった

ゆうこさんと楽しい時間を過ごしてた一年生は

天国だった

そんなある日、ゆうこさんの居るクラスの前の

廊下を通り掛かった時、途端に顔がポオ~ッと

赤くなってしまった

赤面して熱くほてった頬を見られないようにと

下を向きながら一目散に走り去ったんだ

何だろう?この気持ちは?最初は解らなかった

それからは、ゆうこさんのクラスの前の廊下を

通り過ぎるたびに顔がほてって赤くなったよ

ああぁぁぁ~、僕はゆうこさんが大好きなんだ

ゆうこさんが初恋の人なんだあ~って、初めて

気が付いた瞬間だった



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

初恋の人とデート 小川貴央 @nmikky

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ