第14話

「なんでパパが私の家に来ているのかしら」

「いやその・・・・・・・・マリーに謝りたいんだ」

「そう、私たちはリビングでご飯食べるので邪魔しないでもらえないかしら」

「ドットさんすごいかわいそうだよ!」

 リースさんや祖母に当たるエマさんは普通に僕たちが住む予定の家に入れているのは、肝心のドットさんだけ玄関に足を運ぶことも許されずドアの外側でひたすら謝っていた。

 もうドットさんがかわいそうすぎてしょうがないのだけど。

「これは鬼ブヒ、怒らせたらやばいブヒよ!」

「マリーさんの顔から般若のお面が見えるぜ」

「なんで誰もドットさんの子と助けようとしないの!」

「だって、自分で追い出したくせに未練たらしく泣いてばかりいてその挙句仕事から逃げるような生活をしていたんですもの」

「当たり前よね、私まで大事な娘と一生会えなくなるところだったんだから反省してほしいわ」

 ドットさんへの怒りで3人とも爆発してる。

 しかも3人ともいい笑顔を浮かべているしみんなドットさんに冷たくない。

 温厚な雰囲気出しているのにSな性格も入っているなんて、どんどんママのイメージ像が崩れちゃうよ。

「女性はみんなそうなのよ、一回怒らせると歯止めが利かなくなるの」

「えーーーー好きで結婚したんですよね」

「それとこれとは別よ、確かに好きで結婚はしたけど子供にあんなこと言ったんだものパンツ一丁になって土下座してきても許さないわ」

「そうね、今までさぼり続けた仕事のせいで私の出会いが減ってしまったし・・・・・・・・・どうやって返してくれるのかしらね?」

「私のせいでごめんね、リースの怒りは私がパパに当ててくるから」

「超怖いよ、ねっちょりした何かが3人から出てるし大丈夫なの!」

「まったく大丈夫じゃないブヒ、俺様もかなり怖くなってきたブヒよ」

「もう俺女性と結婚できない気がするぜ」

 もう本当に怖い。

 みんな女性はこんなにも怖い生き物なのか。

 もうドットさんに男として僕たちは深い同情をしていた。

 それに僕も結婚した女性にこんな事されていたら生きていける気がしないよ。

 ジンタが言っていることが凄い共感してしまう。

 こんなのを見せられたら完全に女性と結婚する気失せるよね。

 ドアの向こうから哀れな声が聞こえてくる。

「頼むこの通りだ!ローグ君は非常に可愛くて。一緒にご飯食べるだけでも許してくれ!」

「ダメよ、私の可愛いローグとご飯を食べるなんてもってのほかよ」

「ぐぬぬぬ、私は貴族である立場としてそういう判断をしてしまったのは素直に頭を下げるが誰との子かわからなかったら普通はそうなるはずだ」

「誰との子かなんて私たちは知ってるけどね」

「私とママはもとから知ってたわよ、あの頃のパパは貴族であることにとらわれてローグ君を利用するかもしれなかったでしょ」

「なんだと!2人に話してなんで私に話さないのだ、そんなにもパパを信用してなかったとでもいうのか!」

 ママは先から浮かべていた笑みを真顔に変え「そうよ」と冷たく答える。

 どんどんドットさんの心が削られているのがわかってきてしまう。

 ジンタとポップは終始苦笑いを浮かべている。

 確かに女子のいじめはすさましいと聞くけどここぞというときの結束力も半端ないな。ドットさんがこんな哀れなのにまだ攻める姿勢を変えないなんて。

「しょうがないわね、パンツだけになってドアの前で土下座したら許してもいいわよ」

「いやいやさすがにそれはないでしょ、それに普通考えたら着替えないでしょ!」

「着替えたぞ、今土下座してるから早く開けてくれ!」

「って早すぎでしょ!この人プライドとかないの!」

「ちょっと夜ご飯の準備してこなくちゃいけないからそのままにしててね」

「嘘だと言ってくれ、頼むこれでも私は学園長なんだ!」

 これ本当にいじめの域に達してるよ!もうこれは僕が動くしかない。急いでドアを開けるとポリスマンに連れて行かれそうになっているドットさんがいた。

「待ってくれ!まだ私にはやり残したことがあるんだ!」

「パンイチでそんなこと言われても俺たちの仕事はお前みたいな変態をとっ捕まえるのも含まれているからなー大人しく捕まりなさい」

 あーやばいこのままじゃドットさんが捕まるだけではなくて学園長としての立場がなくなってしまうかもしれない。

 僕は連れて行こうとするポリスマンのところに駆け寄ると何故か怒り狂ったドットさんがお説教を始めた。

「だいたいな君たちは何もわかっていないんだ。名門のバネット家の家督を継いでいるのはこの私なのだぞ。それに何よりなんで事情聴収をしていないのに交番まで連れて行こうとするのかね。私はどっからどう見ても360度なんか移転しても無実だろう。なんだその眼は、私のことを変態のように見ているじゃないか、許さんぞ。俺はな理由なくこんなことしているのではない。俺みたいな無実な貴族を相手にするぐらいならもっと他にいるだろう。わかったか貴様らが捕まえなきゃいけないのは理由もなしにパンツ一丁になったりしている奴だろう」

「それはあんたでしょ、所まで来てもらいましょうか」

 ポリスメンはあまりにうるさかったのかポケットから耳栓を出して自分の耳に付けた。その行動にドットさんは怒り狂い更なるお説教をしだした。

「俺の話を聞いていたのか、って今耳栓を付けただろう!この偉大なバネット家の長であるこの俺の話を聞かぬなどおかしな話だ。その耳栓を俺が今すぐに取ってやるから耳くそを小指で掃除して素直に俺の話を聞け!おら今思の耳栓をとってやったぞ、だいたいお前らは何なんだ。年は俺のほうがはるかに上だろ!ならしっかりと聞くのが道理なんじゃないか!違うのか?違くないよなー!これからよーく俺の話を聞くけ、ポリスメンの仕事は何をすることなんだ。簡単に言えば警備だろ、それなら再度いうぞ!俺みたいな理由があってパンイチになっているなら許すべきだ、そして理由がなくてそういうことしている奴を現行犯で逮捕するんだ。いいな!」

「あのー職務妨害も加算して逮捕しますので所まで来てもらいますよ」

「また耳栓を付けただろ、いい加減に俺の話を聞かんか、まだ終わってないだろ。それにさっきから言ってるだろう!この格好には立派な理由があってだな!」

 ポリスメンはものすごくイライラした様子で強制的にドットさんを連れて行こうとする。

 ドットさんも負けじとポリスメンがつけている耳栓を強制的に取ろうと耳を掴んでいる。

 もう犯人が連れて行かれないようにポリスメンと戦っているようにしか見えなくなってきた。

 僕は連れて行かれる前にポリスメンに話すために声をかけた。

「すみませんこの人僕の祖父に当たる人でしてちょっとした事情があってパンツだけになってしまったんです」

「そうなのか、でもこれはいかんと思うよ」

「そうなんですけど、どうしてもこうしなけいけない理由があってしょうがなくなんです、今回だけは許してください!お願いします!」

「しょうがないな、今回だけだよ」

 ポリスメンは僕に免じて去って行った。

 あーよかった、ドットさんが捕まらなくて。

 とりあえずドットさんを連れてかえらないと。

「さすがは私の孫だ。今度好きなのを買ってあげよう」

「ちょっと暑苦しいから放してください!」

 ドットさんがいきなり僕に抱き着いてきた。

 太っているから体中汗をかいていて僕の服はびしょびしょになってしまう。

 急いでドットさんから離れて服を脱ぐ。するとドットさんがきらきらした目でこっちを見てきた。

 なんで服を脱いだ瞬間ドットさん興奮しているのだろう。

 それに周りからも色々視線を感じる。

「なんて肉体美なんだ。私が出しているモデル雑誌に君をでかでかと載せたい!」

「何を言い出すんだろうこの人は、とりあえず早く家に帰りろう」

 僕がドットさんの腕を掴んで家の中に行こうとすると後ろから女性の声が「聞こえてくる。

 やっぱりドットさんがこんな格好になっちゃったからだろうね。

 学園長としてこれでは示しがつかない。

 早くママたちと和解させないと。

「ドットさんも反省したらいいから僕に免じて許してあげてよ」

「わかったわ、もうすぐご飯できるからリビングで座りなさい」

「ローグ君本当にありがとう、君は私の宝いやバネット家の宝だ」

「だから裸で抱き着かないでよ!」

 もう汗だらけだ。

 上半身裸の状態だからベトベトとした人の汗がつくのは誰だっていやだよね。

 とりあえずドットさんをもとの姿に着替えさせてリビングに移動する。

「ローグ本当に災難だったな、ポリスメンの事や学園の女性たちがカメラでお前の体を取っていたぜ」

「ブヒー、ドットさんの心がひとまず折れなくてよかったブヒ」

 マジか僕の上半身写真にされちゃったのかな。

 かなり恥ずかしい。

 なんか言われるのではないかって思っていたけど今のところは穏やかな空気が漂っている。

 ドットさんが娘さんのリースさんや祖父に当たるエマさんの近くに座ろうとするが「こっち来ないで」と冷たくあしらわれてしまう。

 女性陣は全く穏やかじゃなかった。

 僕は気を使って「僕の隣に来ませんか」とこっち側の席に誘った。

 テーブルを挟んで左側の席に男性陣が座っているのでドットさんや僕がそこに行くのは自然な流れだと思う。

 僕の誘いが嬉しかったのかドットさんが 「やっぱり君は最高の孫だ」と調子いいことを口にしながらまた抱き着いてきた。

今度はちゃんと服を着てるから僕は大人しくする。

「ローグ君が困ってるでしょ、話してあげなよ」

「貴方の汚い汗が私の可愛い孫に移ったらどうするのよ」

 家族のあまりの物言いにドットさんはしょんぼりしてしまう。

 なんか狸みたいで少しかわいいな。

 それを見て2人はクスクスと笑っている。

 もう悪魔に見えてきたよ。

 ひとしきり笑ったと真顔に戻り祖母であるエマさんが謝罪をしてきた。

「ごめんなさいね、まだ話せないけど貴方にはきっと寂しい思いをさしてしまったわね、ドットは娘のマリーを弱愛していたし伝えたら怒り狂ってこの家がなくなるかもしれなかったのよ、だからどっちにしたって家族のだれも悪くないのは許してちょうだい」

 やっぱりママは酷いことを言われて出て言ったつもりだったのかもしれないけど、なんか事情があって最終的にはそうするしかなかったのかもしれない。

 さっきまで悪魔のような笑みを浮かべていたけど優しい人だってわかる。

 でもさっきのはかなりドン引きしたけど。

 隣に座っているドットさんが凄いそわそわしながら「今の私には伝えられる内容なのかね」とエマさんに問いかける。

「ええ、家に帰ったら話しましょうか」

「これで私だけ蚊帳の外じゃなくなるのだね」

 うわーすごい嬉しそうにしてる。

 さっきのドットさんいじめがどこに行ってしまったのやら。

 ちょうどそこにおいしそうな料理をたくさんママが持ってきた。

 サラダ、スパゲティー、カモ肉のロース、モンスターフィッシュのアクアパッツァなどがどんどんテーブルに並んでいく。

どれもおいしそう。

 すべて並び終えたママは女性陣がいる側の席に座り、準備が終わっていることを確認して一斉にご飯に手を付けた。

「マリー、ひどいことを言って本当にごめんなさい、これからどうか元の仲に戻ってくれないか」

「別にもう怒ってないわよ、さっきのですべて怒りをぶつけることができたし」

 ご飯中にこの会話をしてからドットさんとママの仲が再び家族の仲に戻った。

 その後はさっきみたいな雰囲気もなくなりみんなで楽しくご飯食べながら会話ができた。

 よかったこれで僕の一つの目標が達成された。








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PIGエボリューション テン @tentenz

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