第3話

 やべ。体力が。俺は舌を垂らしながら少年(仮)の後を黙ってついていった。しんどすぎる。木の根のアスレチックが終わったら、山登りだ。しかもこの山かなりの急斜面で突き出た岩を掴みながら登らなければならない。もうだめだ。

『しょうがないな。我の目を見ろ』

 その声が頭の中に響いた時、俺より先に登っていた少年(仮)は俺を見下ろした。彼の目は少し青く光っているように見える。あーもう末期だ。こんな幻覚見えてしまっている。

 ん?なんか力が湧き出てくるような感じがする、俺の手足にたまった疲労が汗とともに流れ出たかのように消えている。これは、

「キまったぜ!ヒャッハーーー!」

 体が、動くことを求めているようだ。テンション爆上げだぜ!!手が生きているかのように勝手に動く。そのまま勢いをつけ山の頂上付近まできた。

 そして少年(仮)は、近くにあったちょうどいい大きさの石の上に腰かけた。

『もう一度俺の目を見ろ』

 言われた通り俺はギンギンに目を光らせ獲物を見る野獣の如く彼の目を見た。そして彼の目が少し黄色く光った気がした。

 唐突に体に亀裂が入ったような痛みが走った。そして頭がぼうっとしてフラフラとし倒れ込んだ。倒れた拍子に体の下敷きになった石ころが俺の体に突き刺さったようだったがそんな痛みも俺の体に走る痛みに比べれば痛くもない。そのまま目の前が真っ暗になった。

 


 なんだろう。俺の下にたくさんのぬいぐるみ達が重なり合っている。あ、これクレーンゲームの中だ。懐かしいな。中学の時よく友達とゲーセンに行った時してたやつだ。俺下手だったなー。もう一回行きたいなー。あ、無理じゃん。だって魔物になってんだもん。でも戻りたいなー。てかこのクレーンゲームなら掴めば取れるんじゃね。だってこのワームの力めっちゃ強いんだもん。ん?てか、痛いめっちゃ痛いんですけどこのワームめっちゃめり込んでる。痛い!痛いわこのやろー。


「ん?」

 暗いなってか夜?後めっちゃ寒いな。こんな風吹いてたっけ。てか地面がない。なんで。あれ、なんかワームがまだ俺の胴を握ってるんだけど。あれこのワーム全然メカニックじゃない爪もあるし、バイオっぽいじゃん。

『おい、起きたか』

 さっきのやつじゃん。少年(仮)が見当たらない。

『上だ』

 上、

「わぁーーー!」

 何こいつ鷹やん。うん。多分鷹。

「えーと。さっきの人ですか?」

 恐る恐る尋ねてみた。

『違うその上だ』

「見えないんですけど」

『姿を見せんでいいだろ』

 確かにその必要はないなってか、俺をどこに連れてくきだ?

『バージャック城だ』

 ん? 

『もう見えてるはずだ、ほれ前を見てみろ』

 確かに鉛筆のような塔が、何本も天に向かってたっている。なんで全部同じ高さなんだよ。よく見ると円状に並んでる。

『そら着くぞ』

 そう聞こえると鳥は旋回を始め高度を下げて行った。



 


 

 

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魔物で何が悪い @tabaman

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