第3話 突然の事
私が西谷君を気にし始めたきっかけは私がガラの悪い人たちに絡まれているところを助けて貰った時からです。
私も皆さんによく言われて分かっていますが、容姿がかなり整ってます。そのせいで道を歩いていると男性の視線がよく集まります。全身を嘗め回すような視線です。でも、直接話しかけたたりはされませんでした。
私が一人で買い物に行く、行きしな。私は近道をするために人通りの少ないところを通っていきました。それがダメだったのでしょう。
「ねぇ、君。今一人?」
「俺たちと楽しいことしようぜ」
ガラの悪い人たちに絡まれてしまいました。そんなことは初めてだったので恐怖で足が震えて逃げることも、声を出すことも出来ませんでした。
そのまま抵抗出来ずに連れて行かれるのだと覚悟を決めていたその時、彼が助けてくれました。
「おーい!宮野さん!どうしたのこんなところで?」
彼は男の人たちは無視して私だけに話しかけました。その時の安心感はすごかったです。
けど、案の定男の人たちは西谷君に絡み始めました。
「おい坊主。彼女は俺たちと話しているんだ。邪魔しないで貰えるかな」
「嫌だ。彼女は俺の友達だ。彼女が嫌がってるんだから助けてあげるのは当然だろ」
「じゃあ、少し痛い目見て貰おうか!」
そう言って一人の男が西谷君に殴りかかりました。
「危ない!」
そう私が叫ぶと同時に私は目をつぶってしまいました。でも、いつになっても誰かが倒れる音はしません。私は恐る恐る目を開けました。
目の前には男の人のパンチを西谷君が受け止めているところでした。
「これで正当防衛は成り立つけど、どうする?後、ちなみに俺の友達が警察呼んでくれてるからな」
その時、向こうの方から誰かが「こっちですお巡りさん」と叫んでいるのが聞こえました。
それを聞いた男たちは慌てて逃げ出しました。
私はそのまま地面にへなへなと倒れこんでしまいました。そんな私を彼はそっと受け止めてくれました。
その時彼はとてもカッコよく見えました。彼は元々顔立ちが整っていましたが、その時はもっとカッコよく見えました。その時に私は彼に恋をしました。我ながらチョロイですね。
次の日も、また次の日も彼を見れば、無意識に目で追ってしまいます。
告白しようと何度も意気込みました。でも、振られる怖さ故にいつも断念していました。
そんなとき読んだのは少女漫画でした。その少女漫画では恋愛の極意などが書かれていて、『押してだけなら引いてみろ!』という言葉が書かれていました。これは普段話しかけている人にあえて話しかけずに違う人と仲良くすると、その人が自分を気にしてくれるというものでした。
これを読んだとき、私は歓喜に打ち震えました。なんて素晴らしいのでしょう!
そして、私はさらに考えました。では、仲良くするのではなく更に奥の段階まで進めば自分が告白されるまでが速くなるのではと考えました。
そこで思いついたのが偽恋人作戦です。そして偽彼氏に仕立て上げるのは西谷君がいつも仲良く話している四宮君です。西谷君が最も近くにいる人と偽恋人になることで更に時間短縮になると考えました。
四宮君は普通にカッコいいのですが、西谷君の陰に隠れてしまっているようです。そんな彼も女子の中では密かな人気を誇っています。
思い立ったが吉日、私は次の日の放課後四宮君を屋上まで呼び出しました。
「私の偽の恋人になってください」
私はお願いしました。でも、断られました。理由は西谷君も私のことが好きだから自分で告白すれば付き合えるからと言われました。
でも、それは嘘です。西谷君は四宮君にさえ自分の好きな人を言っていないそうです。
それを言うと四宮君は面倒臭そうな顔をしました。でも、最終的には偽の恋人になるのではなく、恋人のように見せることに妥協されましたが、私が魔性の女扱いされないので、それを考えた四宮君はすごいなと思いました。
まず、互いに下の名前で呼び合うことから始めると言われました。男性の方を下の名前で呼ぶのは初めてでしたので、少し恥ずかしかったですが何とか言う事が出来ました。
そこで別れました。
次の日の朝。私は四宮くんを下の名前で呼ぶことを意識しながら登校しました。いつも通り西谷君がいるところに挨拶に行きます。
「おはようございます、にし、大樹君、西谷君」
間違えて西谷君を先に呼びそうになってしまいましたが、いいでしょう。
そんな私の行動を不思議に思ったのか西谷君が聞いてきました。
「二人って互いに下の名前で呼び合ってたっけ?」
さ、早速きになり始めているようです!私は喜びました。
四宮君の方を見るとお前が説明しろと視線を送ってきたので今すぐ理由を考えて言うことしにました。
「それはですね、助けていただいたお礼に何か差し上げようと思ったのですが、その時に大樹君が私のことをしたの名前で呼びたいと言いまして」
ありのまま話すことにしました。
実際私は助けていただいてますし、下の名前で呼べと言われましたし。
でも、なぜか四宮君が睨んできます。何か悪かったでしょうか?
その後、西谷君の質問攻めが続きました。そして段々と険悪な雰囲気になっていきました。
「俺としては言って欲しかったな」
その言葉をカギに四宮君がとうとう切れました。
「俺が誰にも言わないと約束しているのにお前は俺に教えなかった。逆に俺はお前が誰にも言わないと言って、信用していたから言ったんだぞ。でも、お前はそれを破った。しかもその本人にばらした。その時俺がどんだけ惨めな思いしていたと思うんだ?お前にはそれが分るのか?信用していた親友から一度裏切られる気持ちが!だから、俺は今回言わなかった!その理由が分からないお前じゃないよな!」
西谷君が四宮君を裏切った?私は事情を知らないので分からないことだらけでした。分ったのは西谷君が過去に四宮君に悪いことをしたくらいです。
「俺はお前にその言葉を言われる筋合いはねえ!」
その言葉を最後に四宮君は教室を出ていきました。
西谷君は追いかける気がなさそうです。
「西谷君、大樹君を追いかけなくていいんですか?」
「すまない。今の俺にあいつに謝る資格はない」
そう、とても暗い顔で言いました。私は西谷君がそんなに暗い顔をしたのは初めて見ました。クラスのみんなも驚いています。
ここは私が追いかけた方が良いのでしょうか?多分そっちの方が良いです。いかにも恋人って気がします。後、私個人二人の過去を知りたいです。
「私追いかけます」
西谷君が静止する声が聞こえましたが無視して追いかけることにしました。
西谷君が行った先は屋上でした。屋上の隅っこで三角座りをして顔を隠しています。
「誰だ?」
彼の声は震えていました。
「宮野です」
「明日香か。どうしたんだ?」
「追いかけてきました」
「なんでだ?」
私はこのくらい雰囲気が苦手なのでちょっとおちゃらけます。
「その方が恋人っぽいじゃないですか」
すると彼は少し笑ってくれました。
「確かにな」
「でも、私が知りたいです。一体過去にあなたたち二人に何があったかを」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます