記憶喪失

@stdnt

第1話

最近、近所で、悪質ないたずらが目立っていた。

ゴミ集積場に、首から上だけの人形が並べられていたり、

夜中、窓越しに奇声を浴びせられたり。

住民は、近隣におかしな人間がいるようだと、警戒していた。

夕闇がせまるころになると、その人間は活動を開始するようだった。

ある日、仕事から帰宅すると、自宅のドアが吐しゃ物で汚れており、

掃除をしてから外出、再び帰宅すると、

今度はドアノブが石鹸の泡まみれになっていた。

お掃除ごくろうさんというメッセ-ジなのだろうか。。


怖くなり、安い防犯カメラを設置した。

カメラの存在がいたずらの抑止になってくれればよかったのだ。


しかし、またしてもいたずらは起きた。

今度はドアの前に、大量の食事のあと、

そしてドアノブには、ジャムパンが覆いかぶさっていた。


防犯カメラに抑止力はなかった。しかし、カメラに犯人が映っていることだろう。

ドアのごみを片付けてから、カメラの記録を再生してみる。

しかし、そこに映っていたのは、誰よりも怖い人物であった。


ドアの前で、ジャムパンをむさぼり、ノブにかぶせている人物、

それは、自分だった。


私はやっていない!

これは一体、どういうわけだ。


その時、ドアをノックする音が聞こえてきた。

「山田さん、でてきてください。警察のものです。」

体がすくんで、動けなくなった。

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