振り下ろすことすら――

 何かに本気で打ち込む、というそれはただそれだけで何かを得られるものなのだろう。「失敗から学べることもある」なんて言葉もあるけれど、それなら失敗すらできなかった人たちはその苦しみをどこに振り下ろせばいい? 何か判り易い的があれば良かっただろう。それならば心は守られただろう。しかし、それすら無ければ虚しかろう。ただ絶望することしかできなくて、仮に怒りを抱いたとしてもその矛先は真っ暗闇。当人の前では凡百言葉が空虚に過ぎず、何を紡いで語りかけても、所詮は他人事に対する言葉でしかないのだろう。それがどうしようもなく悲しい。
 果たして、本気の努力をしたことのない僕に、言葉を紡ぐことが赦されるのだろうか。