3.グレイ公爵家の溺愛


 夜の王、ミー・ワシミミズクにあった後アイリスを心配してきたハンナと守護動物〈ガルディエーヌ〉ユウに見つけてもらい、グレイ公爵家の者しか入れない神殿内だったためエド兄さまに助け出してもらったとその日から三日間寝込んでしまった私にハンナやべリス姉さまに聞いた。

 その日から外出することを禁じられたアイリスはやることがなくなってしまったため、夜の王ミーが自分が眠りにつく前に言っていたシャノン王国や他国のことを学ぼうと決めた。




 代々シャノン王国の宰相を務めてきたグレイ公爵家には大きな図書館が存在する。そこにはシャノン王国のことは勿論、他国のことが書かれている本がたくさん置かれているため外出を禁じられたアイリスにはもってこいの場所なのです。

しかし、アイリスは賢いですがまだ2歳。到底難しい文字を読むことができません。そのためアイリスは文字を学びたいことをお父様に伝えに行きました。




 コンコン……

「誰だい?」

「とうしゃま、アイリスでしゅ。はいってもいいですか?」

「アリス!?今扉開けるから待ってなさい!」

ガタッバタバタッ

どうやらまだ病み上がりのアイリスの突然の訪問に驚きが隠せないのと

かわいいアイリスに重たい扉を開けさせない過保護なお父様なのでした。

ガチャ

「さあ、アリス中にお入り。」

「とうしゃま、ありがとなの!」

[アリス、体はもう大丈夫なのか?]

「そうだぞ、動いて大丈夫なのか?」

「しんぱいかけまちたわ。もう大じょうぶなの!」

「そうか。ところでアリス今日は何しに来たのかな?もしかして父さんに会いに来てくれたのかい?」

[ギル、そんなことでアリスは来ないだろ]

「きょうは、もじをおしえてほしくてきたの」

[ほら見ろ]

「カムリは黙ってろ!アリス?文字を覚えるのはまだ先でもいいんじゃないのか?」

そこでアイリスは神殿での出来事を話しました。

勿論婚約者の件は隠して。

[夜の王にあったって!?そんな馬鹿な!夜の王は初代グレイ公爵の時から一回も姿を見せなかったのだぞ!?]

「前から全ての〈ガルディエーヌ〉と話せる時点で他とは違った子だとは感じていたがまさかミー・ワシミミズクと話すなんて。」

[しかも夜の王自ら〈ガルディエーヌ〉になるというなんて前代未聞のことだな]

「ああ。なんてことだ。アリスは女神の子だったのか!?」

[ギル、落ち着け。慌てすぎだ]

こんなに娘のことで慌てて宰相の仕事の時は大丈夫なのだろうか…

「そうだな。なるほど、ミー・ワシミミズクにシャノン王国や他国のことを学べと言われたから文字を知りたいと。」

前言撤回、冷静に戻すカリムがいるし頭の回転が速いのでギルニークがシャノン王国の宰相で安心だろう……

[ギル、文字をおしえるならお前の部下から派遣したらどうだ?]

「そうだな。かわいいアリスにどこの馬の骨かわからん男に任せるよりましだろう。アリス、父さんの信頼するものを来させるから明日から学びなさい。」

「わーい!とうしゃま、カムリありがとなの!」

[それからアリス、夜の王のことは家族と信頼した者以外の人には話していけないよ。夜の王の力は膨大で誰もがその力を欲しがる。アリスの身を守るために夜の王の力は極力隠す必要がある。]

「そうだな。アリス、君はそのまま言ったらとても美しい子に育つだろう。それだけでも変な者に誘拐されたりして危ないのに魔力もすごいとなると物凄く危険になる。用心しなさい。」

「わかりまちたわ。では、とうしゃま、カリムおやすみなさい」

[おやすみ、アリス]

「ゆっくりお休み。アリス」

バタン……




 アイリスが自室に戻ってぐっすり眠りに落ちたころ、

ギルニークの書斎にはグレイ公爵家の者が集まっていた。

「お父様、緊急家族会議とは何事なのです?」

[べリス、まさかアリスちゃまのことで呼ばれたのでは?]

「久しぶりの家族会議ね。」

[エリス、のんきに紅茶飲んでいる場合じゃないでしょ。]

「まさか、先日のことか?アリスが寝込んだ時の!」

[エド、アリス嬢は元気になっただろ?落ち着け。]

[ハンナ、俺らなんでこの場に呼ばれたんだ?]

「わからないけど、アイリス様の事なら聞いておきたいわ。」

「みんな、急に呼び出して悪かった。実はアリスのことで話しておきたいことがある。」

「父様!アリスに何かあったのですか!?」

[だから、エド落ち着けって。]

「エドニーク!話は最後まで聞きなさい。」

そこからグレイ公爵家の当主ギルニークは先ほどアイリスから聞いた話をその場にいる者たちに聞かせた。その話を聞いて各々色んな感情を表していた。

アイリスの母ユラリスと〈ガルディエーヌ〉のキイは彼女のこの後を心配した顔、

姉のべルリスと〈ガルディエーヌ〉のベルは彼女を誇らしく思った顔を、

兄のエドニークと〈ガルディエーヌ〉のオーグは頭の中がいっぱいで固まった顔、

侍女のハンナと〈ガルディエーヌ〉のユウは自分が仕える主の素晴らしさとこれから前よりもっと強くなってアイリスを守っていかなければと決意した顔をしていた。

「ということで、来年のアリスの〈ガルディエーヌ〉選定式では夜の王ミー・ワシミミズクが来るそうだ。ミー・ワシミミズクの言い伝えで明日からアリスに文字を教える者をつける。」

するとここで、今まで放心状態だったエドニークが

「父様!男とアリスを二人きりにするのですか!?」

[それはアリス嬢が心配だな。]

「安心しなさい。ハンナをそばにつければ大丈夫だ。」

「ハンナがいるなら安心ですわ!ハンナ、私のかわいい妹をよろしくね」

「ベルリス様お任せください。」

[エド、ハンナがいるなら大丈夫だろ。]

「そうだな。」

「この話は今のところここにいるもの以外に話すことを禁ずる。そしてこのことはグレイ公爵家の掟にも加えるので把握しておくように。急に呼び出してすまなかった部屋に戻って休んでくれ。」

「わかりましたわ。ギル。さあ、みんな部屋に戻りましょう。」

グレイ公爵家にはアイリスが知らないところでアイリス関した掟があるのだ。

本当にグレイ公爵家の者たちはアイリスを溺愛している。

もしアイリスに危害を加えたらグレイ公爵家の権力を最大限に活用して報復に来ることだろう。

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愛するもふもふと共に。 五十嵐 綾。 @igarasiaya

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