第2話

夜、部屋の遮光カーテンをサッと引いて、私はベッドに倒れこむついでに傍で充電していた携帯を手に取った。ブルーライト機能をオンにする。羽毛布団を頭まですっぽり被せて携帯の着信を気長に待つついでに、私はいかに彼が自分にとって全てかを考えた。

彼は一言で言えば、矛盾だらけな人だ。そう言うと悪く聞こえるかもしれないが、そもそも私は混沌としているものが好きだ。感情といい、状況といい、1つにはっきりと定められない点に可能性と美しさを感じる。それは彼も例外ではなかった。挑戦的なくせに臆病、新しいもの好きのくせに古いもの好き、独りが好きなくせに寂しがり屋な彼は私の心を様々な色で鮮やかに染め上げた。そして、私はもっと沢山欲しくなってよくそれらを組み合わせて掻き混ぜた。すると色がどんどん燻み、取り返しがつかなくなって新しい色で修正するために慌てて彼に連絡をとろうとする、というのを繰り返した。結果、全体的に暗いどんよりと淀んだ一色が生まれてしまった。と私は感じているが、実際はどうか分からない。自分の頭とはいえ全てを把握するのは至難の業だからだ。もしかすると、彼が私に与えた色なんてものはそもそもなく、私は真っ白いスペースをただ掻き混ぜ続けただけかもしれない。だが、仮にそうだとしてもこのような妄想の激しい間抜けにしたのも彼なのだから、全て彼のせいなのだ。

と結論付けた瞬間に着信の知らせが画面に表示された。私は知らせの横の今の時刻と内容を確認した。そして、追加で来ないと分かると少しくすぐったい気持ちで既読をつけずに、布団から顔を出して携帯をベッドサイドに裏返して置くと、枕にほっぺたをぎゅっと押し付けて目を閉じた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小瓶の中の物語 @ojizousann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ