第10話

「そうか、今迄の事を考えると、無理強いはできない。

 それは十分わかっている。

 だが今までの事も大切だが、これからの事も大切ではないか?

 ソフィアも学院長の話を聞いていたろ?

 安全が確保されれば、使徒としての力を取り戻せるんだ。

 力が欲しくはないか?

 難い相手に復讐できるだけの力は欲しくないか?」


 確かに、このままでは殺される可能性が強いです。

 ですが、本当に復讐させてくれるのでしょうか?

 幽閉程度なら納得できません。

 今まで苦しめられた分、この手で残虐な方法で殺すことができなければ、とても受け入れることなどできません。


「あれほど好き勝手させていたイヴリン王妹を、王が私の手で嬲り殺しにさせてくれると言うのですか?。

 違いますよね?

 また王が庇って形だけ罰して、直ぐに好き放題させるのですよね」


「そんなはさせないよ。

 戻って直ぐにソフィアの手で殺していいよ。

 信じられないのなら、全てソフィアの条件で死を誓う魔法契約するよ」


 青天の霹靂です。

 死を約束する魔法契約など普通は結びません。

 そこまでやってくれるのなら、信じていいかもしれません。


「ただし、その魔法契約で私との結婚も誓ってもらうよ」


「分かりました。

 誓いましょう」


 その場で、学院長を見届け人として、魔法契約をしました。

 その結果、驚愕の事態となりました。

 私の魔力が、計測不能になったのです。

 学院長の話は本当だったのです。

 ただなにより驚いたのはウィリアム王太子殿下が私の守護者だったという事です。


 私達は全力で国に戻りました。

 そして全てを王に報告しました。

 もう魔法契約でウィリアム王太子殿下と私は結婚しています。

 王が認めなくても関係ありません。

 まあ、認めなければ殺すつもりでした。


 王を殺し、ウィリアム王太子殿下を戴冠させる覚悟でした。

 その気迫を圧されたのか、それとも殿下の話を納得されたのか、その場で私達の結婚を王として認めてくれました。

 イヴリン王妹を残虐な方法で殺す事も認めてくれました。

 ゴブリン族が人間の女を責め苛む方法で殺す事を認めてくれました。


 私達は共にウェルズリー侯爵家に乗り込み、イヴリン王妹が住む離殿を襲撃しましたが、吐き気がするような痴情現場でした。

 九人の愛人と獣欲の限りを尽くしていました。

 九人の愛人と共に、一カ月かけて嬲り殺しにしてやりました。


「ソフィア、今度は君が約束を守る番だよ。

 この大陸のために、その力を使ってもらうよ」


 しかたありません。

 約束は約束です。

 完全な政略結婚ですが、今度は約束を守ってくれるでしょう。

 残る私の約束は、ウェルズリー侯爵とオールトン侯爵家が、サンケンブリッジ王家に滅ばされた後に、私がその領地を土地返したら、私の台所領とするだけです。


 しかし、前提条件のサンケンブリッジ王家が攻め込んでこなければ始まりません。

 まずは子供を生まなければいけませんね。

 殿下以外がガタガタいうのなら、殺してしまいましょう。

 今の私にはそれだけの力があります。

 


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政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。 克全 @dokatu

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