第7話:死んでヒステリー
「痛いわ!痛いわ!」
交通事故か何かの重症の外傷で亡くなってここに来たユーレイ女がいた。
とにかく、痛いわ!痛いわ!と叫び続けている。
もう死んでいるのだから痛みなど感じないはずだが、
見た目、外傷がたくさん残っているからなのだろう。
それを見て痛い痛いと言っているようだ。
その一方でユーレイは疲れを知らないし、眠る必要も無いし、
脳ももう肉体的に機能していないから、下手をすると亡くなった時の状態のまま
永遠に騒ぎ続けることになる。
周りにいるまともなユーレイたちから即、クレームのTELが入り、
この必要霊界グレイブタウンの管理統轄者ウィッチ主任がすぐさま駆けつけた。
そしてその大騒ぎしているとんでもユーレイ女に言う。
「気のせいだっつの!ユーレイは痛み、感じないんですぅ!痛くないはずですぅ!
気のせいですぅ!」
「でも…!」
「でもじゃねえ!!」
そう言って、白い短い棒の先端に黄色い星の付いた杖を取り出し、
女に向かって振るった。
すると女の口がどこからか生じた糸で縫いつけられてしまった。
ユーレイは食事をする必要が無いし、
特に会話をする必要も無いので特に問題は無い。
倫理的な問題はあるが、死後の世界は現世とは違う。
ルールは一応あるが現世とは異なる。
現世で言うコンプライアンスも糞も無いのだ。
「おとなしくしてろ!」
そう言って管理者ウィッチ主任は立ち去っていった。
口を縫いつけられた女は叫べず、自然と落ち着きを取り戻し、騒がなくなった。
ウィッチ主任は今日も適切だった。
死後の楽園!? ユーパラ 涼木 風太 @suzuki-foota
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