最終話 二人揃ったロクデナシ

 世の中とは、儘ならぬもの。なれど、こうも面白い事があるだろうか。

 変態小夜子が現れて3カ月。あの宴会の日の翌日から、何が起こるか分らないと警戒していたのだが、何の音沙汰なく過ぎていった。

 流石に何かあったのでは?とスコットに聞いてみたところ、カズキと二人で大爆笑してしまった。

 どうも、あの宴会の日、スコットが小夜子を連れて行った後、小夜子を慰めているつもりが、不幸の自慢大会になったらしい。小夜子の不幸なんて生涯処女だっただけだし、それも本人の性癖が原因なので、不幸と言うのも烏滸おこがましい。

 対してスコットは、ある日突然奥さんが殺され、娘が攫われ犯され殺されたのだ。スコットの圧勝だったのだが、『可哀相、私が慰めてあげる。』と服を脱ぎ、『私に酷い事して。』なんて、スコットに襲い掛かったそうだ。

 スコットは若返ってもらっていた事もあり、元気いっぱいなのだが、奥さんに操を立てていたので、女は作っていなかった。しかし、小夜子のそんな軽率が行動が、元々精力絶倫のスコットのたがを外してしまい、小夜子は処女だったにも関わらず、スコットのスーパーテクの前に朝まで5回戦もしてしまったそうだ。

 小夜子は大満足だった様だが、スコットは奥さんの墓前で『陛下の御為おんため』と言い訳をしながら、毎日ヤリまくっていたらしい。

 そして、妊娠。

 元々S気があったスコットは、箍が外れた事もあって、小夜子をイイ感じに罵倒しながら、秘書の女の子にも手を出していて、その娘には執務室の机の下プレイをさせていたらしい。そんなプレイは、俺とカズキが教えたのだが、スコットはお気に入りな様だ。

 そんなスコットだが、そこは切れ者。小夜子の子では、どんな変態が産まれるか分からない。もし産まれたのが変態だったら、陛下のお子様に差し障ると、秘書を正妻にして、小夜子を側室にしたのだそうだ。

 しかし、そこは変態小夜子。そんな雑な扱いがとても気に入っているらしい。まあ、俺は関わりたくなかったが、幸せになってくれれば、それで良いと思う。

 まあ、良かったよねとカズキと2人、胸をなでおろしたのであった。ただ、大丈夫かと思うのは、小夜子は妊娠していてもスコットに襲い掛かっているそうだ。

 そこは自己責任としてもらおう。


 そして、暫くしてセレスティーナが元気な男の子を産んだ。乳母と養育係を霧にお願いしたら、物凄く喜んで引受けてくれた。

 セレスティーナを即座に回復して、生娘になったセレスティーナを飽きるまで抱いた。やはりセレスティーナは最高だ。

 セレスティーナが出産を終えたので、今度はシャルロットが妊娠する番と言う事で、シャルロットの妊娠強化月間を敢行。無事妊娠したので、今は大事にしてもらっている。

 セレスティーナとシャルロットは、お互いがマサキのW正妻と考えていて、常に交代で色々すると本人達の間で取決めをしているんだそうだ。

 そんな時、シリルが妹を連れて来て、妹も妻の一人に加えてくれと言う。理由を聞くと、自分は生涯マサキの女でいたい。母親になる事を望まないが、公爵家の跡取りは欲しいし、マサキの子を跡取りにしたい公爵家の意向もあって、妹に打診をしたら、喜んで嫁に行くと言ったそうだ。

 そんな訳で、シリルの妹のソランも嫁にして、すぐに妊娠は可哀相だったので、避妊しながら愛でている。これが、シリルに負けず劣らずスタイル良し、容姿良し、エロさ良しの三拍子揃った良い子。子作りが目的であるにせよ、愛してしまうよね。ソランも子供は産むし、成人まで育てるけれど、私は公爵家には帰らないと宣言している。

 うちの妻達は、みんなそんな感じだ。子の母親であるより、マサキの妻で在る事を選ぶ様だ。まあ、転移陣もあって行き来が簡単なのもあると思うが。

 まあ、俺としては良い女をまた1人手に入れたので、良しとしている。


 半神半人になってから、寝なくても問題ないし、何度でもエッチは出来るし、最悪飯も食わなくても死なないのだが、食は楽しみなのでちゃんと食事はしている。

 みんなには、半神になった事は伏せているので、バレない為と言うのもあるのだが。

 先日、神界に行って来た。そして、エリセーヌにプロポーズをした。今更感はあるものの、形式は大事だと思うのだ。正式にエリセーヌが妻になった。

 やる事はやっていたので、本当に今更なのだが、ちゃんと妻にエリセーヌがなってくれた事で、心が落ち着いたのだ。



 そして10年の歳月が流れた・・・


「なあ、カズキ。俺達、年取って無くね?」

「そうなんだよなぁ。俺も嫁さんも若いままなんだよ・・・。」

「スコットも若さ全開なんだけどさ、小夜子だけ、良い年になって来たと思わないか?正妻さんは若いよな。セレスティーナなんか出産終えたけど、結婚した当時の17歳のままな気がするんだ。」

「そうだな、俺は最初の妻がエルフだから分からんが、日本人の由利は18のままな感じさ。」

「そういや、弥助と霧も歳食った感じはないな。」

「「うーむ・・・。」」


 子供はちゃんと成長しているが、俺達夫婦とカズキ夫婦、弥助夫婦にスコット夫妻。この辺りは歳を重ねた感じがしない。商工業ギルドに至っては、全員美女のままなのだ。勘治夫妻や治吉夫妻も知り合った時のままな気がする。小夜子だけ年齢相応になっている。

 まあ、嫁さん達が若いままと言うのは、堪らなく嬉しい事ではあるが、釈然としないので、神界にお伺いに行く事にした。

 結果、ガリルの爺ちゃん曰く、俺の嫁の中にハイエルフが3人、エルフェリーヌ、エルフォリア、エルラーナがいて、寂しい思いをさせるのが、俺の心の棘になっている事が解ったので、俺の嫁ズ、と側近夫妻はハイエルフに寿命を合わせたとの事だった。ただ、小夜子の性癖や行いは、色々な方面で悪影響が出そうだし、俺が受け入れ不可能だと言う事実から、寿命を縮めはしないが、普通の人間として歳を重ねてもらっているとの事だった。

 なんか凄く納得のいく説明だった。人間に嫁ぐと言う、思い切った決断をしたエルフェリーヌには、何か残すか神界から時々降りるくらいはしようと思っていたが、それでも寂しい思いはさせるだろうと思っていたのだ。


 神界でそれを聞いて戻って来たマサキは、後20年位したら隠居所を作って、みんなで移住して現役を退く必要があるだろうと考えたのだった。

 また場所探さないとな。

 まあ、色々な専門家がいるんだ。街が出来る程度にはなるか。ニルフェスがいるし、食うものには困らないし、プロミスに買い物くらいは行っても良いだろう。


 そんな訳で、当分仕事がなくなった赤龍の住む山の隣に、土地だけ確保しておいた。小さな湧水池があって、水には困らないし景色も良い。隠居するには最高の環境だろう。ドワーフ王国も近いしな。

 なので、ここに宮殿を建てようと思うのだ。

 当分先だがな。


「カズキ。どうも俺達はあと2000年位はエッチし放題っぽい。」

「マジか!?それは嬉しいな。」

「だからさ、次期市長をしっかり教育してくれよ。代替わりしたら、みんなで隠居用の宮殿に移住するからさ。聞かれたら答える、偶に買い物に行く、そんな程度の関わりが良いと思うんだ。」

「そうだな。どこの世界にも老害や旧態依然とした態勢が、良くない事はままあるしな。」

「あと、20年はここにいる予定だがな。」

「20年したら、引退して若い嫁とイチャイチャし放題か。楽しみだ。」

「違いない。働きたくなかったからな。これまで忙しすぎた。もう、良いだろう。」

「俺達のあの時代がまた戻って来るな。」

「ああ、今度は俺達の女がいっぱいいるところが、違うがな!」

「ああ、その通りだ。こんなにいっぱい女がいるのに、俺達のいないってな!」

「「はっはっは。」」


 この日、関係する者だけ、大広間に集めて説明をした。

 概ね、みんな喜んでくれた。

 ただ、家族、親しい者を見送らなければならない、自分の子でさえも。そう言った葛藤は、はやりある様だ。だが、考えてみて欲しい。自分の子供を見送る回数は、俺が1番多いのだ。

 まあ、そんな事もあって、みんなで最後まで生きて行こうと決めたのだった。


 この世界に来て、セレスティーナに振り回されながら色々経験し、振り回されながらもセレスティーナが可愛くて、それを補って余りある余裕を見せてくれたシャルロット。この2人を愛し、愛された事が全ての始まりだったと思う。

 いつも傍には桜が居た、弥助が居た。そして、霧が椿が加わった。俺の大好きなセリアが俺の女になってくれた。エルラーナが助けてくれた。

 これだけで幸せだと思っていた。地球にいた頃の苦痛など容易く忘れられる程に。

 今では、80人くらいの女性が俺を愛してくれる。

 そして、カズキが来てくれた。色々手伝ってもらったりしたが、俺達の時間は隠居してからが本番だろう。

 二人揃ったら碌な事にはならないのだ。だが、その全てを笑い話に変えるすべを俺達は持っている。

 沢山の仲間に女に囲まれて、ここまでやってこられた。これからもそうやって生きて行くのだろう。そして、本当に幸せなのだ。

 だが、俺達二人の時代はこれからなのだ。


 なぜなら、俺達は二人揃って、一人前のロクデナシなのだから・・・





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異世界へ渡ったロクデナシ くらのすけ @kuranosuke1283

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