第17話 穏やかの女

槍の人は事ある毎にリーダーに反抗していた。

連携プレーに支障があるので皆困ってた。

私達が指令官に反乱したあの時も。



指揮者 追っ手はすぐそこに…馬を加速しますか?


リーダーの参謀 駄目だ、加速したら言い訳が利かなくなる。


槍の人 おい、鎧の、俺達殺されるぞ、貴様の仏心のせいで。


鎧の人 すまない…。


槍の人 すまないじゃねえ!てめえこんな事何度やってきたよ。

あるじの命令は絶対なんだ、とてめえも言ってきただろ!


リーダーの参謀 リーダーに対してなんだその態度は、やめろ!

槍の人 お前だって殺されるんだぞ!


私 槍の人も別に殺される事は怖いわけじゃないでしょ?

ただ、相談して欲しかったんだよね?


槍の人 ああ…そいつの言う通りだ。てめえはいつも一人で勝手をしやがる。


私 槍の人は何かアイデアがある?


槍の人 上手く行くか判らねえが、東の国境に森林地帯がある。


リーダーの参謀 成る程、あそこなら指令官は近づかない。そこへ向かうぞ!


私 ああ、良かった。また皆の気持ちが一つになった。




「春香、制服に早く着替えなさい、もうお迎え来ちゃうでしょ」

「わかってるよー」洗面所で髪をとかし母親の急かしに答える春香。

程なくして呼び鈴が鳴り、応対する母親の声がする。

急かされ玄関に行くと雅子が今日も迎えに来ていた。

雅子「行きましょう、姉さん」

春香「姉さんはやめてってば!」


学校への道を歩く春香と雅子。

「私たち、前世で姉妹だったの?」

「うーん、そうだったかもしれないし、ただの仲間だったのかも」

雅子は春香の問いの答えに続けて

「かなり強い絆で団結してたのは間違いないね」

「仲間といえば、こんな夢を見たよ」


雅子は語る。

私たちは皆で追っ手から逃げて焦っていて。

その最中、いつも姉さんに楯突く生意気な仲間が文句言い始めたんだ。

皆の気持ちがバラバラになりかけた時、楯突くやつを嗜めた女がいて、そいつは皆にこう呼ばれてたんだ。


春香は口を挟んで言う。

「穏やかの女」

続けて春香は言った「私もその夢見た」と。

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神話奇譚ファゾルード スワスチカ @swastika

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