この作品を読んで浮かんだのは「熱殺蜂球」という言葉だった。
ミツバチが天敵であるスズメバチから巣を守る為に、集団で取り囲んで蒸し殺すという方法である。
……とはいえ、この作品では立場は逆で、集団のスズメバチが一匹のミツバチを取り囲んでいるわけだから、惨さの極みみたいな状態なのだが。
語弊を恐れず言うのなら、登場する彼女らは「優しい」。ヤンデレ作品にあるような殺傷沙汰にはならないし、主人公をモノ扱い(なんだかんだ見下している)するような扱いもない。
ただ、手心がある故にじわりじわりと追い詰められていき、対して、彼女らの愛情は底抜けに強まっていくのである。
前述の通り、熱殺蜂球は巣(の中にいるハチ達)を守る為に行われる方法だ。彼女らは大切な人への愛の為に、彼を取り囲んで抱擁する。どこにも逃れられないように。そして、膨大な熱の中で彼は呻き続けるのだ。
これは、普通のヤンデレの小説と比べられないほど、やばい小説で、割と一般的なヤンデレの小説に飽きるほど読んでいてもきっとどきつい小説です。
なので2話か3話まで読んでみて、抵抗があまりないならば読んでみてもいいと思いますが、絶対に生半可な決意では読まないほうが絶対にいいと思います。
グロなどはないですが、totoさんの圧倒的なセンスと才能によって構築される芸術的でもはや神秘的な世界は、恐怖を与えるのに十分です(本当に失礼ですが)。
決意があるならば、普通じゃないヤンデレを読みたいなら、狂気に触れたいなら、読んでもいいと思います。
上のに当てはまるなら、
圧倒的かつ高密度なヤンデレをあらゆる方向から楽しみ、狂えるでしょう。
4人からの一方的な歪んでいる無限の愛を楽しめます。
常時浴びせられるその愛は、一般的に使われる依存や執着、独占などという言葉の概念にこそ当てはまりますが、一般観念から見ると大きく外れています。
絶対に最後まで読めば満足はできます。
もしあなたが、この作品を楽しめる、同類であるならば。
ただ真に願うのはこれを読んでもなお、満足できない状態にならないことかもしれない、、、。