第2話 マーレの街
水の街、ヴィネツィアへ来たセインは目を輝かせた。
「うわぁ‥凄い、綺麗!」セリカは楽しそうにはしゃぐ娘を
見て微笑んだ。「見て、水の馬車!」「こっちは水の椅子!」
「こっちは‥」一通り見終わったセインとセリカはカフェで休憩
をしていた。「そういえば、どうしてここの人達は差別しないの?」
セリカは街の人々へ視線をうつした。「ここの人達はマーレなの」
「え!?」だか、納得はいく。水の馬車や、椅子など普通は
ないのだから。セリカは一口紅茶を飲む。「ロンドンはテッラの街
だったでしょ?逆にヴィネツィアはマーレの街なの。しかも、イタリア
全土は殆どマーレの人口が多いから、比較的安全よ」セインは感嘆の
声を漏らす。「凄い‥」そして、もう一つ疑問に思ったことがあった。
「どうしてここに来れたの?普通審査とかあるけど‥」「引つ越す前に
血液検査したでしょ?あの結果をイタリア政府に届けて入国出来たの」
そして、マーレとして認められ、ここに居るわけだ。「あと、知り合いが
いたってことかしらね」セリカが意味ありげに片目を瞑ってみせる。
セインは頷く。「なるほど。お母さん、交友関係広そうだし」
真面目な顔で言う。「広そう、じゃなくて実際に広いから」
セインは笑いを堪えて街の景色を見た。すると‥数人の男達が
こちらに向かっているのが分かった。咄嗟に母の方を見る。
母は笑っている。嫌な予感がする。「もしかしての、もしかして
だよね?」セリカはまんべんの笑みを浮かべる。「そのもしかしてよ!」
セリカが言い終わった頃には横に男達がいた。しかも‥かなり顔が
整っていた。「げっ‥ねぇ、不審者じゃないよね?」
「不審者じゃありません。言ったでしょ、私の知り合いだって」
一応挨拶はしておいた。「セイン…セイン・アシュトンです。」
すると、男達も自己紹介をしていった。「俺はミズキ・エーヴリーだ。」
「俺はフェリクス・バーネットだ」濃い青の髪の男と緑の髪の男が
そう言った。「ミズキさんと、フェリクスさんですね」
セインは漸く彼らへの警戒を解いた。
テッラ・エ・マーレ @yayoi1368
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。テッラ・エ・マーレの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます