テッラ・エ・マーレ

第1話

テッラと呼ばれる陸の人間が多く住んでいる

イギリス、ロンドンに一人の少女がいた。水の

様に透き通る髪に深い深海の色をした美しい

少女であった。彼女はマーチと呼ばれる海の人間

だった。それが原因であることをされていた。

それは…「早く消えろ！」「見るだけでも吐き気が

するわ」悪口が教室中に響き渡る。

それは彼女、セインに向けられたものだった。

このいじめは数年前からされていたものだった。

比較的テッラの人口が多いイギリスはマーレと和解

することを嫌がっていた。プライドがあったの

だろう。だから、こんなにも差別しているのだろう。

セインは膝の上に置いてあった手を固く握り締めた。

そして、カバンを持って教室を出て行った。あの場所

にはなにも残してはいない。あらかじめ、物を机に

出さない様にしていたから。耐えきれなくなったら

いつでも逃げ出せる様にと。だが、もう限界だった。

許してくれるだろうか？母は。これ程までにも

弱い自分を。セインは家のドアを勢い良く開ける。

その両目からは酷いほど涙が溢れていた。

すると、彼女の母、セリカが慌てて出て来た。

彼女はセインの顔を見てこう言った。

「‥無理だった？」セインは無言で頷いた。

セリカはセインを抱き締めた。そして、優しく

頭を撫でた。「頑張った、頑張ったよ。だから、

楽になろっか。引っ越そうか」