3.11東日本大震災の時、僕は…

中島健一

第1話

3.11当時、僕は就活中だった。


着なれない新品のスーツは端から見れば、犬が飼い主の趣味で無理矢理着せられてる洋服と同じようなぎこちなさがあった。


書類選考でたくさんのお祈りメールを受信していた私は面接の経験が殆どなかった。


しかし!書類選考を通過し!集団面接を奇跡的に通った!


次は1対1での面接だ!


面接日は3月11日

新宿の高層ビルの42階


初めての1対1の面接は非常に緊張した……


上手く答えられない……

これはダメだ…


なんだか気持ち悪い…

面接官が歪んで見える…


って!これは精神的なことではない!

実際に揺れているのだ!


初めは42階だから地上よりもよく揺れるのかと思っていたが、面接官の狼狽え方が以上だった。


蛍光灯がチカチカと点滅する。

天井にある通気孔の蓋が床に落ちる。



面接は中断


部屋からでて少し広いフロントに社員さんと違う部屋で面接をしていた就活生が集まり身を低くして待機していた。



ポーン

館内アナウンスが入る。いつもアナウンスで流れる声は女性の落ち着いた声のイメージがあるが、今回は緊急ということで、警備員のおっさんがテンパりながらアナウンスしている。

「現在東北で震度7相当の地震が発生しました。なおこのビルは震度8まで耐えられるので安心してください!」


すると僕の面接を担当していた社員が言った

「あと1で崩れんじゃねぇか!」


面接での落ち着きようとは打って変わっていた。


集まっていた皆はふわっと笑った



揺れはおさまりこの会社の少し偉い方が僕達、就活生に声をかける


「地震、大丈夫だった?」


僕は答えた

「地震は大丈夫だったんですけど、この面接に受かる自信はないです」


その会社は落ちました……

あれから9年、僕は元気です。

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3.11東日本大震災の時、僕は… 中島健一 @nakashimakenichi

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