第11話 Cランク昇格試験 下

シノブは今急いでいた。理由は大体察せれるが、ガランが敵の本拠地で1人で暴れ回っているせいだ。脳内マップを見ると敵の数は減っていっているが、肝心のボスを倒しきれてない。しかもそのボスの仲間は弱いくせにそいつだけは格が違った。




 ゴン Lv35



 体力 1500



 魔力 1470



 知力60



 幸運 20



 スキル 隠密Lv5 格闘術Lv8 剣術Lv2



 称号 盗賊団のボス 歴戦の戦士




 っと、ガランでは手に負えない相手だ。能力はそんなに高くないが、それを補っているスキルが凄い。隠密で姿を消され見えないところから高レベルの格闘術を打ち込まれては終わりだ。


 今頃ガランは俺の想像通りになっているのだろう。


 内心で悪態をつきながらも急いでガランの居る部屋へ向かった。




 ――――――



 よし。着いた!だが、マップで見た感じガランはもうすぐ殺されそうだ。少しでもこちらに気をひかなければならない。できることは1つ!Lvが上がったからなかなかの威力を誇るようになった俺のファイアボールで気を引きつける!



「ファイアボール!!」



 すると人の頭ぐらいの炎が部屋の扉へ向かって飛んでいき、当たった瞬間。扉が轟音と共に爆ぜた。


 よし、なんとか間に合った!ってガランすげぇざまだな。



「ふぅ。なんとか間に合ったか。いいザマだな、ガラン。」



 そう言って俺はアイテムボックスから回復ポーションを取り出しガランに投げつけた。



「それでも飲んどけ。少しは楽になる。言いたいことは山ほどあるが、取り敢えず目の前の敵が最優先だ。」



「ああ。ありがとな。」



 なんだ。意外と素直じゃないか。ってそんなこと言っている場合じゃない。目の前の敵は俺がこの世界に来て初の対人戦であり強敵かもしれないやつのだ。



「ほぉ。今度は骨がありそうじゃねーか。そっちの雑魚とは違うよなぁ?」



「ああ。こいつとは一味もふた味も俺は違うぜ?だがな、たった1度の戦いで仲間をバカにされるのは、納得いかねぇ。てめーは確実に殺す。」


 何言ってんだ俺。さっきまでガランの事めっちゃ嫌いだったのに。



「ガキお前、、、いやなんでもねぇ。俺はあいつらを呼んでくるからなんとか耐えてくれ。」



「お易い御用だ。」



 そう言って俺は腰に据えてある刀を抜いた。



「ほぉ。なかなかの業物じゃないか?どこで手に入れた?」



「そんなの答える義理はねぇ。さっさとかかってこいよ?」



「中々威勢のいいガキだ。」



 そう言うと相手は一瞬にして俺の前から消えた。否、俺の後ろに回り込んだ。



 ギィィィン!



 剣通しが鍔迫り合いで火花が飛び散り合う。



「この一撃を止めるか。やはりさっきのやつとは違うな」



「今度はこっちからだ!」



 今のはやばかった。魔力感知に引っかからかったら俺は死んでたぞ。


 これなら出し惜しみ無しだ!



「身体強化!」



 俺が身体強化を使うと、相手は俺の速さに着いてこれなくなった。



「くっ!小癪なヤツめ!」



 悪態をつきながらも相手は間一髪のところで俺の攻撃を躱し隙あらば反撃してくる。


 やはりこいつは強い。



 ギィィィン!



 再び鍔迫り合いを起こすが、先程のような膠着はなく俺が力で相手を押し切った。



 バァァン!



「グハァ!」



 相手が怯んだ一瞬の隙をついて俺は間合いへ入り込んだ



「あんたとの戦いはいい経験になった。ありがとな。」



 そう言って俺は相手の首を斬り飛ばした。魔物などでも肉や骨を断ち切る時は気持ち悪いものが込み上げてくるが、人間の場合はそれがつよかった。俺は少し呼吸が乱れ、吐きそうになってしまった。



「俺が、人を殺したのか。」



 そう俺が言っていると後ろから援軍が来た。




「大丈夫かシノブ!?」



「ああ。なんとかな。少し気分が悪いだけだ。」


 そう言うとリーズは回復魔法をかけてくれた。



「私の回復魔法は精神も安定できるの。これで少しは楽になるはずよ?」



「ありがとな。あと、ガランも仲間を呼びに行ってくれてありがと」



「お、俺は別に自分のしでかしたミスを償うためにやった事だ。お前に例を言われる筋合いはねーよ。……さっきは悪かったな。あんなこと言っちまって。俺はお前に嫉妬してたんだ。許してくれとは言わねぇ。」



「別にいいさ。文句を言っていても最終的には俺のために助けを呼びに行ってくれた。それだけあれば十分だろ?」



 我ながら臭いセリフを言ってしまったな。



 あ、、どんどん意識が遠のいていく。いつもはこんなこと無かったのに。。


 そう言ってシノブは静かに気を失った。





 ――――――――



「う、ううん?ここは何処だ?」



「あ、起きたかシノブ。ここはアジトの前のテントだよ。」


 とリオンが教えてくれた。



「そうか、俺は気を失っていたのか。。」



「そうよ。全くびっくりしたんだから。話している途中に急に気を失うんだから。」



 どうやら、みんなに心配を掛けたらしい。



「心配掛けたな。悪かった。ところでガランとギルド長は?」



「ガランなら近くの川で水取りに行ってるよ。ギルド長はさっきチラッと顔出てシノブ起きたら知らせろって言ってこのベルを渡してきたんだ。」



 そうか。俺はギルド長まで待たしたんだな。



「何から何まで悪いな。じゃ、俺も起きたしガランが帰ってきたらギルド長を、呼ぶか。」



 そして数分すると、



「お!!起きたかシノブ!ほら!水持ってきてやったぞ!」



「お、おう。ありがとな 」



 あれ?ガランってこんなキャラだったっけ?



「おいガラン。お前ってそんなキャラだったか?」



 つい反射的に聞いてしまった。



「あ?あ、そうか。俺は気の許した相手にはこんな口調になっちまうんだ。変だったか?」



「いや、別に変ではないが、少し新鮮でな。あれだけ俺のことを馬鹿にしていたのに。」



「るせぇ!その事はもう水に流そうぜ!な!ここに水をあるし!」



 やば。今のは寒いぞガラン。



「よし、全員来た事だしギルド長を呼ぶか」



 カランカラン



 軽快な鈴の音が鳴ると奥の森からドタドタドタと地面を蹴る音が聞こえてきた。



「よし!お前ら!全員揃ったな!!それでは結果を発表する!!」




 ゴクリ。。俺大丈夫かな。しっかり敵は倒したけど危ない場面多かったし。




「お前達4人は、、、、、全員晴れてCランクだ!!これからも慢心せず冒険者活動に取り組むように!!」



「「「や、や、やったぁぁぁぁぁぁ!!!」」」



 俺、Cランクになれたぞ!!やったぁ!!



『マスターが喜んでる所なんて珍しいうふふ。。』



 なんか今聞こえたような気がするがそんなの気にしない!今はCランクになった喜びを味わおう!!



「ただし!ガラン!お前だけはギリギリだからな。独断専行で敵陣に乗り込み味方までも危険に晒す行為、シノブがいなければ不合格だっだぞ。」



「はい。。すいませんでした。」



「よし、反省が済んだなら帰るぞ!!」



「はい!!!」




 そう言えば、助っ人のバーン空気だったな。。。。




 そうして俺達はCランクに上がりその喜びを噛み締め合いながら、ギルドへ帰っていくのであった。



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ユニークスキル創造魔法で異世界無双ライフ! モフえもん @mobusuke22

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