ハマと俺の日和

ハマと俺の日和

「あー、もしもし？　ハマ？　オレオレ。あん。そうそう。

　明後日のさー、ボドゲ合宿の件なんだけど。そう、コージさんはさー、1人3つボドゲ持ってこいよ！　って言ってたけどさ、おれ1つしか持ってないんだよな～。

　あお前も？　じゃあ一緒に買いに行こうぜ。イエサブイエサブ。明日……あ、じゃあ明日ね。

　ついでにモス行かね？　急にモスが食べたくなる時、あるじゃん？　あそう？　でも奢るけど……。現金だな、お前。

　じゃあえーと、11時にモス前な。あーい」

「おはよー、ハマ……あれ、結香さん？

　え、なに……ああ、結香さんもそうなんですか？　ボドゲめっちゃやってる印象あるのに、意外ですねー。まーでも貢がせるの上手いですもんね。アハハハ！

　結香さん来るなら来るって連絡くらい入れろよハマ！　……え？　マジ？　ごめんスマホ見てなかったわ。ごめんの100乗（じょう）。

　ていうか、2人、付き合ってるよな？　さすがにわかるって。隠す気ないだろ。……いや、のろけられても困る。いつもの感じでお願いしますよ。そうじゃないとゲロんちょに気まずいし！

　……まあとりあえず、モス行きますか」

「会計別々でお願いします。えー、照り焼きチキンの、ポテトセットですね。Mの方です。あとハマ。お前なんだっけ？　あ、そうそう、シュリンプバーガーね。単品です。以上で……

　……ん、何？　……いや、結香さんのぶんはおまえが奢れよ！　知るか！

　ああいやいやいいんです、こいつに奢らせてやってください。ていうかむしろ俺の分も奢ってくれてもいいくらいなんだよな。

　え？　なにこの万札。ああ……足りるだろうけど。……いや、それはカッコつけすぎ。見栄っ張り出たな～。見栄っ張りムーブ。結香さん、見ましたか？　これがこいつのウィークポイントですよ。弱点露出！　こうすれば金庫は開く」

「…………。

　あいつ……ね。

　モス……。……モスでカッコつけるから！　って感じですね。もうちょっと金用意しとけよ！　ってね。

　………………。

　あー……。

　あ、いやいやなんでもないです。発音練習です。あ・い・う・え・お。結香さんは？

　………………うん。…………あー………………。

　まあ……あいつは……。……いい奴ですよ。ご存知の通り」

「おうハマ、おはよー。

　あん、まだ3人。俺とコージさんとお前。みんな遅れて来るらしい。3人でも十分遊べるのがボドゲのいいところだよな。お前はけっきょく何持ってきたの？

　え？　コージさんは今シャワってるわ。いや覗かねーよ。

　あ、紙コップ、自分で名前書いてな。管理は自分で。床にはこぼすなよ。

　……いや、自分の部屋じゃなくても当然だろ。俺たちはゲストだぞ。家主を敬え！

　あ、コージさん。ハマが参上しましたよ。偉大なるコージ王……」

「おい、寝るな～ハマ！　夜はまだ始まったばっかりだぞ！　おい！

　おしくらまんじゅうでもするか？　あえての。眠気も覚めるだろ。

　なんかそういう超アナログゲームするのもアリですね。……あ、かくれんぼします？

　……はい。冗談です。そりゃそうでしょ！　おれがそんなこと本気で言うわけないでしょ！　いやでも久しぶりのかくれんぼはふつうにしたいが……かもめかもめとかもしたいな。1on1（ワンオンワン）でもいいぞ。一瞬で勝負が決するな」

「おい、誰だよ夜とか言ったの。やうやう白くなりゆくやまぎは少し明かりてじゃねーか。ふふ、そう……。うえ～、まぶしまぶし……。

　なんか、急にシラフになったな。戻って酒も買い足す？　いや、もっかい買いに来る方が大変でしょ。金はあとで請求すりゃ大丈夫でしょ。みんなお前よりは財力あるんだし……。

　……なあ、帰りに足湯にでも寄るかー。な。ちょっとゆっくりしてこうぜ。1on1でさ。結香さんとどこまで行ったか、まだ聞いてねえもんな！」