4000足らずの宇宙

拙いですがレビューをさせてください。

3,999字でこんなに奥行きのある話を書けるんだ、というところにとても驚きました。一節一節で降り積もっていくような時間の移ろいと一人の女性の人生の行先が、物語の世界を空間的に確かにしていく。SFというスケールの大きなジャンルをこんなにコンパクトに、無理なく描いているのが素晴らしいと思います。

お題は「拡散する種」ですが、それをSFに持っていくところが素敵。
ひとつの自我が遠くで根付く、そういう途方もない「拡散する種」の奇跡と、それが発するいっそ無責任な肯定の空虚さが愛しいような、どうしようもないような、切ない気持ちにさせてくれました。
おすすめです。