緊急事態発生……

みんなが帰宅し、俺は安堵をついた。



ふう……



深いため息をつく。



本当に今日は大変だった気がする。




もう今日は疲れた。



すうーっと、体から力が抜けていく。

同時に、視界がぼやけていく……



やべー、まだ今日宿題出来てないのにな。


寝てしまい……




「ピンポーン」



ビクッ


あーー、誰だよ、眠いのにさ。



俺は眠さに少し苛立ちを覚えながら玄関に近づく。



ガチャッ


「誰で……」


「え!?君は……」



俺の視界に黒髪で髪は肩くらいまでのきれいな女が立っている。



「霜月雪さん……?」



「ええ、部屋にあげて」



冷淡な声が俺の耳を抜けていく。


ゾッとした。


「ちょっ……」


というのもつかの間、霜月雪は強引に俺の部屋に上がり込む。



おいおい。

これはやばいだろ……

マジ思考が回らねえ



「ねえ、亀頭友アンタ私とエッチしなさい。」



「ははははっはい!?」


思わず大声をあげてしまう。



「アンタ童貞でしょ。私そこそこかわいいと思うんだけど……」



いや、確かにかわいい。

合コンというやつの時からそう思ってはいた。

でも、あまりにも朴念仁すぎて……



「い、いやま……」



「おまけに私処女だし、心配することないわ。」


俺は頭が真っ白になった。



無抵抗状態の俺に霜月雪が近づいてくる。


そして、俺の首筋から後ろに手を回し、ゆっくりと背伸びしている。


俺は放心状態で全く身動きが取れない。



途端、俺の唇になにかが触れる。

そして、それはそのまま俺の口の中に入ってきた。



それは、やわらかく、なめらかなものであったが、凄く強い衝撃を受けた。


尚も放心状態でいる俺は、このままベッドに押し倒され上半身の制服を脱がされる。


霜月雪はブレザーを脱ぎ捨て、ネクタイを外し、ボタンを一つ一つ

ゆっくりと外してゆく。



そして、ベッドに寝そべっている俺の上に跨る。



俺は、もうここで……

覚悟を決めた。


と……




「プルルルルッ」



携帯電話のコール音が鳴り響く。



ハッと我に返ったのか、俺は今、俺の目線の先にいる霜月雪を押しのけて、携帯電話を取りに向かう。




木部颯斗  画面にはそう表示されている。



俺は何も考えずに、指をスライドさせ電話に出る。



「もしもし、亀頭?俺そこに財布忘れてるだろ?今から取りに行ってもいいか?」


なんだそういうことか……


「ああ、いい……」



ふと、ベッドに横たわる霜月雪が目に入る。



「い、いや、だだだダメだ。」



「どうしてだ?」



「ちょっ、今日疲れちゃってさ……明日、学校に持っていくから。」

「今日は早く寝たいんだよ、ご、ごめんな。」





「な、なんだそういうことか、今日はお世話になっちゃったからね。」

「じゃあ、明日持ってきてくれ、くれぐれも盗ったりするなよ、じゃあ」



「ああ、じゃ、じゃあな」



……助かったのか。いや、これは……



この空間に、上半身が裸の男と上半身が下着姿の女がいる。

俺にとっては、世にも奇妙な光景である。




「あっ!?」

と思わず俺は声をあげ、急いでタンスからシャツを取り出し、すぐに着る。


それにつられたように、女も急いで制服を着る。



……………………



沈黙が気まずい。





「ゆるさないから……」


か細い声が俺の耳にはいる。



「それってどういう……」



その時の、霜月雪の顔は明かりのせいかわからないが、妙に赤く見えた。

俺は、さっきまでとはまるで様子が違う、彼女に対して言葉を失う。

って、合コンの時とも違いすぎるだろ……



「とにかく、このことは誰にも言わないで」



「あ、ああ……」



「にしてもなんで、あんなこと……」



すると、霜月雪は恥ずかしそうに


「興味があっただけ……」という。



「じゃあ、どうして俺に……」



「アンタ、合コンの時、静かでたどたどしかったから。」


それってつまり、俺がちょろそうだったからということですね。

あーそうですよね。ってか、霜月雪お前も大概だったからな。



「それと……」



そういいかけて、彼女はまた頬を赤く染まらす。

一体どういうことなのだろうか。



「とにかく、誰かに言ったら許さないから。」



彼女はそう言い残して、さっさと玄関に向かう。



ガチャ



ドンッ



一体何だったのだろうか。



ってか、やばいやばいよ、俺。

今さっきまで女子高校生と二人でなにしてたんだ。

俺はさっきまでのことを思い出して、急に胸が痛くなる。

なんだこの感覚……

まさか……そんなことはないよな。馬鹿馬鹿しい。



まあ、俺の大好きな推しキャラ達にお世話になりますかね。

どうせ、霜月雪アイツとは、違う学校だし、二度と会わないだろうからな。


一時の気の迷いってやつだな。




やはり、若さとは怖いものであるな……






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ラブコメ主人公に憧れる少年は女子高校生と話せない @yusha-mk

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