第3話 4月13日 前編

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《学校》


 入学式から3日も経てば、歓迎ムードもだんだん薄れていき、『登校し、授業を受け、学校が終われば家に帰る』という規則的で面白味のない日々が始まる。


 かく言う俺も、何の変哲もないふつーの高校生活を送れている。ちょっと中学校時代と変わったことと言えば、話し相手が出来たことだろう。あのねぇ、柏田君と意外と波長が合うのよ(笑)


「柏田君。部活とか入った?」


「ん?ああ、ソフトテニス部に入ったぞ」


 うぉ、ソフトテニス部とはなかなか。テンションの高いヤツが入りそうな部活じゃないか。


 キンコンカンコ~ン

「1年4ホーム、河村君。1年4ホーム、河村君。至急職員室まで来て下さい。繰り返します。───」


 呼び出された?………

 始まって3日、クラスの隅っこで影としてただ息をしているだけのこの俺が校内放送で呼び出された、?


「なに?河村、お前なにしたの?」


 ニヤニヤしながら聞いてくるんじゃないよ、柏田君。


「なんもしてないよ。とりあえず行ってくる」


 ニヤニヤが止まらない柏田君。やめろ、手を振るな!クラスのみんながこっち見てるだろ、やめろ!


 〜〜〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《職員室前》


 はい、着きました。職員室。いろいろ呼び出される理由を考えながらここまで来たけど、全然考えつかないんだよねー…。


 コンコンコン


 ガラガラ


「失礼します。1年4ホームの河村です」


「あぁ、河村君、こっち来て」


 俺のことを呼び出したのは担任の先生か。一体何の用だ?


「校内放送で呼び出しとは…俺なんかしましたかね、先生」


「いや、そんなたいした用ではないんですけどね。河村君、部活動の登録用紙提出していないでしょう?わざわざ校内放送使うほどでもないですけど、教室までいくのが億劫に思いまして」


 ほんとにたいした用じゃないじゃねーか。登録用紙1枚のために、俺は校内放送で呼び出され、柏田君にニヤニヤされ、クラスのみんなの無駄な注目を集めたわけか………。


「いや、俺部活入る気ないんですけど、」


「あれ、言いませんでしたっけ?この学校では1年生は強制的に部活に入らないといけない決まりなんですよ」


 え、そうなの?知らないんだけど。いつ言ってたんだ?合格者登校日か?入学式か?


 ………。


 あ、学力テストの日の帰りのSH《ショートホーム》か!


「言ってた気もしてきたような…。でも俺、部活体験もいってないし、そもそもどんな部活があるかさえ知らないんですけど…」


「それはどうしようもないですね…。でもこれ、締め切り今日までなんですよ。なんとか1日で決めてくれませんか?」


 えぇ~、まじか、どうしよう。とくにやりたいこともないんだけどなぁ…。適当に返事しといてあとで考えるか!


「わかりました。なんか適当に部活決めます。」


「───っ!」ガシッ


  ひぃっ!?

 読者のみなさんにはわからないと思いますが今、俺の右肩を誰かがガッシリ掴んでいらっしゃる。

 だ、誰だ?!


 振り返るとそこには………!


「一緒に軽音やりませんか!!!!」


 可愛い黒髪の女の子がいました。





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