十勝野より逝く ~亡き祖母のための晩夏の花~

作者 kanegon

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★★★ Excellent!!!

人の死を表現するのは難しい。ルポでも小説でも。
けれどこの作品には最初から引き込まれた。

私のご先祖様も北海道へ入植して大変な苦労をしているだけに、おのずと物語の真の主人公である「祖母」の人生に視点が向く。
抑えた筆致であえて「祖母」の人生の詳細に触れず、その残したもの、子孫や周囲に人々に与えたものを描くことで、ある種の「幸せな終末」が伝わってくる。
心温まる良い小説です。

余談ですが、十勝の神主さん風体と先祖が神職を選択した理由というのがあっけらかんとして逞しく、「十勝あるある」なところがとてもいいですね。






★★★ Excellent!!!

油絵が趣味だった祖母。
彼女の大往生を見送ったのは、写真や油絵の花々だった。
クレマチス、クガイソウ、カンパニュラ、ルドベキア、ユーパトリウム……。
それは、祖母が大切に育てていた庭の花。

――神道においては、全ての儀式は祭りである。

神主、祝詞、玉串奉奠。
仏教式のお葬式しか知らなかった自分には、何か神聖な儀式に感じられる。
それよりも、なによりも、親族の心遣いが温かい。
自分もこんな最期を迎えたいと思わせてくれる素敵な作品でした。

★★★ Excellent!!!

主人公の107歳になる祖母が亡くなった。
主人公はそのお葬式へと向かう。
少しだけ違うのは、神道での儀式である事だけ。それ以外は普通のものと代わり映えはしない。

そうではあるものの。
それは、他人の葬式とは多分少し違ったのだ。

***

こう、胸に「くる」話。
時々予想だにしない時に出会うと、ズシンと深く刺さる。
派手でもなく、でも無駄にしんみりもさせない。
それでもなお、緩やかに沁みてくる物語。

きっと、時々ふと読み返したくなるかもしれない。
そいうった種類の作品でした。
本当に、静かに沁みます。