人の死を表現するのは難しい。ルポでも小説でも。
けれどこの作品には最初から引き込まれた。
私のご先祖様も北海道へ入植して大変な苦労をしているだけに、おのずと物語の真の主人公である「祖母」の人生に視点が向く。
抑えた筆致であえて「祖母」の人生の詳細に触れず、その残したもの、子孫や周囲に人々に与えたものを描くことで、ある種の「幸せな終末」が伝わってくる。
心温まる良い小説です。
余談ですが、十勝の神主さん風体と先祖が神職を選択した理由というのがあっけらかんとして逞しく、「十勝あるある」なところがとてもいいですね。