3月15日(金) 中学卒業の日(中編)


そして、最後のホームルームが終わり、

私はあかねの席へと向かった。

あかねは私に気がつくと、


あかね「みずな、ごめん。

ちょっと教室で待ってて。」


あかねは私に、ごめんねと言って

自分のバックは置いたままどこかに向かった。

私は、どうしようかなと思い、

また席へと戻った。


(そういえば…たく君はどこ行ったかな…)


私は自分の席に戻り、教室を見渡した。

みんな帰ってる中、たく君を見つけて

声をかけようとしたけど、

たく君はまたバックを置いて

どこかへ行ってしまった。


(あっ…また声かけられなかった。

でも…バックを置いて行ってるなら

また戻って来るよね…)


私はそう思い安心して、

クラスメイトの何人かと最後の挨拶をした。

そして教室には皆いなくなった。

誰もいなくなった教室を見渡して

中学での生活を思い出し、


私「…本当に終わったなぁ。中学での生活。

この3年間を思い出すと…色々あったなぁ」


私が10分ぐらい窓の外を眺めながら

感傷に浸っていると、

教室のドアが開く音がした。

そこにはあかねが来ていた。

あかねは私を見て、私の席の横に

来て立ったまま言った。


あかね「ごめんね。待たせて」


私「いいよいいよ。

それより私に渡したいものってなに?」


あかね「はいこれ…。」


あかねが私に見せた物は、

男子制服のボタンと手紙だった。

私は、それを見てまさかと思った。

私は驚いた顔をしながら受けとり、

あかねはちょっと申し訳なさそうな感じで

言ってきた。


あかね「みずなが思ってる人のだよ。

実はね…たく君はみずなが好きなのを

知っていたんだよ」


私「えっ!?私何も言ってないのに?

しかも…最後に話したのは塾の時だよ??」


私は顔に出てたかなとかおかしいなと困惑した。

あかねは真剣な表情で私に言った。


あかね「…。そしてもう一つ。

たく君は、実は私の彼氏なの…」


私「えっ…。そうだったんだ…。」


あかね「言えなくて本当にごめんなさい。

でも、みずなが好きなのを聞いて、

私はちょっとどうしようかと迷ったの…

でもみずなはいい人だと思って、

私はたく君に話したの…」


あかねは私に頭を下げて


あかね「本当にごめんなさい。」


涙を流しながら私に謝った。

私は、そんなあかねをみて

どんな気持ちでいたんだろうなと

失恋したんだという悲しい気持ちと同時に思った。

私はあかねに


私「頭をあげて。

私は話してくれただけでも、

すごく嬉しかったよ。」


私はあかねの肩に手を乗せてそう言った。

あかねは頭を上げて、私に目を合わせた。

よくあかねの目をみたら、ちょっと腫れてた。


あかね「本当はたく君が

渡すつもりだったんだけどね…。

たく君は今他の人からの告白を

断りに行っててね…。」


私「…そっか。たく君モテモテだね。」


私は愛想笑いしながら言った。


あかね「部活でも人気だったからね。

私が色々な人にいじめとか受けないように、

こっそり付き合っていたんだ…。」


私「…だから今日言ったんだね。

いつから付き合っていたの?」


あかね「3年になった夏ぐらいの時から。

みずなが私に話したのは、3年になって

秋ぐらいだったからね。」


私「そっか…。そうだったんだ…。」


あかね「…みずな。たく君は何故みずなに

ボタンを渡したと思う?」


私「…えっ。」


私は、そういえばと思った。

たく君は、彼女がいるのに私に渡すのは

間違いじゃないのかな…。

あかねは私に少し笑顔になって言った。


あかね「たく君は、塾の時が楽しかったんだって。

付き合ってから塾の事聞いてた。

みずなの話も聞いていたんだ…。

たく君、みずなと話したり一緒に勉強をしていて

本当に楽しかったと。

だからそんなみずなに

気づかなくてごめんという気持ちを込めて、

第二ボタンとこの手紙をと…。」


私「あかねはいいの?第二ボタンは…

大切な人…好きな人に送るボタンだよ?」


私の中学では好きな人に第二ボタンや校章を

渡す文化が流行ってた。

第一ボタンは自分、第三ボタンは友達、

第四ボタンは家族などの意味が込められている。

そういう風にみんなが知っていた。


あかね「私も正直そう思った。

でも私には校章を渡してくれた。

たく君はみずなの事…

気になってはいたんだって…。

だからみずなには、第二ボタンを渡すって。」


私「そっか…。そうだったんだ…。」


私は、この時後悔をした。

3年になる前に告白しとけば、

また違ったのかなと…。

話しておくべきだったなと…。

(あかねは可愛い上本当にいい子だし、

たく君はイケメンの上優しいから正直私は…)

あかねの身長は私より小さくて、

小柄で顔も整っていて本当に可愛い。

そして、男子達にはモテるほうだった。

たく君も、顔もイケメンで部活は卓球部で

強いほうだったから他校でも人気があったらしい。

(私はたく君の事は、後から知ったんだけどね…)

私は、涙を流しながらあかねに言った。


私「あかね…。本当にありがとう。

たく君とこれからも幸せになってね。」


あかね「ありがと…。それからたく君は、

その手紙を帰ってから読んで欲しいと。

みずな…本当にごめんなさい」


私はあかねにまたいつか会おうねと言って

自分のバックを持って、

教室から出て自分の家に帰った。

雨は降っていたが、私は傘を学校に置いたまま

びしょ濡れになりながら。


自分の部屋に行って、私は泣いた。

親は今日の卒業式は仕事があって、

帰ってくるのは夜で私に兄弟はいない。

誰もいない家の自分の部屋で、


「…もうこんな時間。お母さん達が帰ってくる前に

お風呂入ろう。」


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思想日記 月谷みずな編 マイクラ好きのtukuyomiさん @16yh

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