誕生日は盛大に

ベームズ

お祭り騒ぎ

「さあ‼︎やってきましたお祭りです‼︎」

「あまりはしゃぐな‼︎カナメちゃん‼︎残念ながら君以外はただの土曜日だ‼︎」


「いいや?これが浮かれずにいられますか‼︎あのクソッたれな潤が私のためにサプライズしてくれたんだもの‼︎周りからどんな目で見られようと、今日は全力で浮かれます‼︎」

「……地味にディスられる僕。それにすごい気迫だ。後ろに何か見える」


「それじゃあ何見る?せっかくショッピングモールなんかに来たんだから服?それともレストラン?」


「いや普通に食品売り場だけど?」

「スーパー‼︎そんなのなら近所のスーパーでいいでしょ⁉︎」

「だから最初からそう言ってるだろ⁉︎なのに無視して電車乗るわバス乗るわバカじゃないのか‼︎」

「だって‼︎せっかく誕生日に二人で出かけられるのにいつも行ってるスーパーとか嫌すぎるし‼︎」

「謝れ‼︎スーパーの人に失礼だろ‼︎」


「……ごめんなさい」


「よし、なら今がお昼前か……きてしまったものは仕方ない。いまからレストラン行って、少しだけ買い物付き合ってやるから、早めに切り上げて家に来てくれ」

「サプライズがあるのね‼︎わかったわ‼︎そうと決まればさあいきましょう‼︎」


「……最早サプライズでもなんでもなくなってる気がするが」

「なんか言った?」

「……なんも」



「見てあれ‼︎ハッピ‼︎ハッピがが売ってる‼︎季節外れ〜」


「そのせいか安売りされてるね……夏に向けて?随分と気の早い」

「よし買うぞ‼︎」

「絶対言うと思った」




「……そしてそのまま着やがった」

「目立って仕方がないね」

「なら脱げよ」

「……いやだ」



「店の人ずっと見てたろ?いまから帰るのに外それで歩かれたら僕まで恥ずかしいんだけど」


「なら家でまた着る預かってて」

「それは好きにすればいいけど」



「でも潤?鳥、オードブル、なんかわからない肉塊、こんなに買って、何かのパーティーでも開く気?」

「カナメちゃんの誕生パーティーだよ‼︎」

「えっ⁉︎何それ聞いてない‼︎」

「サプライズだからな‼︎ちなみにこれいったの2回目だよ‼︎」


「そうだった‼︎あまりに楽しすぎて忘れてたわ‼︎じゃあ何?今日忙しいとか早く帰りたいとか言ってたのってつまりあれ?家に私を祝う準備をしていて、早く私に見せたい的なあれ?」

「説明ご苦労様、おかげで僕から言えることは何もなくなってしまったよ」



「まじか‼︎なら早く帰らないと‼︎私の誕生祭はまだまだ終わらない‼︎」

「興奮するのはわかったから、ハッピ着ないで」


「ハッピーバースデーわーたーしー‼︎‼︎」


「もうやだ」




「なんだかんだ言ってるうちに潤の家に着きました‼︎さて、ぱっと見いつもと変わらないただの年季の入った一軒家。しかし‼︎その中には他でもないこの私を祭り上げるための準備がされているのね‼︎」


「それ自分で言ってて寂しくないのか?」


「最高の祭りを開催してくださいね?主催者さん‼︎」

「はいはい、すっかり夕方だけど、まあ、わざわざ遠くのショッピングモールへ行った甲斐もあったな、いい買い物ができた、すぐに用意できるよ。料理以外はできてるから、客間へいらっしゃい。ビックリさせてやる」

「うわー、すごい自信‼︎楽しみだ」


「見てなよカナメちゃん‼︎真の祭りはこれからだ‼︎」


(祭りは終わらない)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

誕生日は盛大に ベームズ @kanntory

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ