今日は、いとこの誕生日。

むらさき毒きのこ

第1話 こら! 何で君が十歳なんだ!

 同じ歳のいとこ「えみちゃん(ペンネームに因む)」がいるのだが、二月二十九日の今日は、えみちゃんの誕生日だ。そのえみちゃんが、昨日ツイッターで


「明日は我の10歳になる誕生日。ロリばばあについになれる!」


 と呟いていたので


「(´・ω・)。・゜(確か同じ歳だよなあ。今年で四十……そうだ、えみちゃんは四年に一回しか誕生日が無いんだった。子供の頃は不思議だったよなあ、ケーキもプレゼントも四年に一回なのかって。だけどこの歳になってこのギャグ言えるの羨ましい)」


 などとウザいコメントをしてから何の反応も無い。えみちゃんは基本、ツイッターをあんまりやらないのだ。たまーに人間関係のしんどさをボヤくんだけど、本業であろう漫画・イラストの宣伝はいつやるんだろうなあ、などと密かに思っている。


 うるう年に生まれたいとこの誕生日というか、お祝いは一体どうなっているんだろうというのは気になるところだ。もしも四年に一回しか祝ってもらえないのだとしたら、悲しい事だろうと思う。


 だけどこうも思うのだ。いとことはもう随分会っていない。中学生の頃に会ったきりなのだ。夏休み、二人して徹夜でエロ本を読んだ事が懐かしい……いや、この話は関係ない。そう、私もいとこも今年で四十なのだ。それがですよ皆さん。外見が、いとこが主張(妄想ともいう)するように「十歳」だったらどうするんだろうと、考えるのです。もしもそうだとしたら、多分羨ましくて泣くと思います。いや、それはどうなんだろう。十歳って、子供じゃないか。嫌だなあ、せめて二十一歳くらいがいいなあ。もう、神経痛やら老眼やら腰痛やら白髪やら全部おさらばしたい。これ以上老体になるのは嫌だ!!! どうせなら六十歳まで若者でいて、一日で老衰して死にたい。老いが私の心まで侵食して病む気がして止まらない。


 混乱する私に向かって、草むらから突如現れた猫がこういった。


「おいおい」


 猫は花粉症で涙を流している私を一瞥すると、公園の裏の竹やぶの向こうへ、行ってしまった。


 

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