ある寒い国では、行くあても無い子供が街にいるのです。
それはある日の夜の出来事です。美しい男が、街にいる子供たちを集め、こう言ったのです。
「きみたちは、一人一人がかけがえのない存在なんだよ」
子供たちは、男について行きました。
***
街から子供の姿がすっかり消えた頃。大人たちは、何か大事なものを忘れている気がしました。だけど、それが何なのかはどうしても、思い出せませんでした。
***
美しい男の家には、砂時計がたくさんありました。大きいのもあれば、小さいもの、中くらいのものもあります。これらの正体はいったい、なんでしょうか。
それは、子供たちの未来なのです。未来とは、希望であり、命そのものなのでした。
***
街はすっかり、灰色でした。