第2話 入園
ディス王国の中心部にある大きな広場。中心には大きな噴水がある。僕はそこに集められた。今日はディス王国が経営している学園の入学式。王国には国が直接管理しているディス学園本校しかない。そこに16歳になる年の子供全員が入学する。そのあとそれぞれの適正に応じて本校で勉強する人、分校に転向する人に分かれる。まぁ君たちで言う高校みたいなもんだな。
僕がスキルを手にしたあの日から半年。いろいろ試したけれどスキルが発動しない。『スペード3』発動するためには何か条件が必要なのかな。自分で言うのもなんだけど勉強も魔法もそれなりにできる自信がある。まぁ何とかなるかなと思って今日まで過ごしてきた。
分校だったら家から近いし、本校だったらたくさんの優秀な人に会えるし、どっちに転んでも楽しみだな~。
なんて考えてたら噴水が光始めた。中から人が出てくる。周りがざわめいている。うん、おじさんだな。噴水からおじさんが出てきた。初めは水にずぶぬれだろうなと思っていたけどよく見たらおじさんの周りだけ水がはねのけられている。おじさんはさらに上に上がっていき、噴水の水が届かない高いとこで浮いている。やっべーあれも魔法かな~。僕も飛んでみたいなー。なんて思っていたら、広場の外から人の網をかいくぐるようにして若い女の人がやってきておじさんに向かっていった。
「学園長。いい加減にしてください。急にいなくなるから大変だったんですよ。馬車を手配したって言いましたよね。そうやっていつも自分勝手に動いて周りの私たちが大変じゃないですか・・・」
女の人がまくし立てている。ん?学園長って言ったか?あのおじさんが?そんなわけないよとか思ってたら気持ちが読まれているかのようなタイミングでしゃべり始めたのでぎょっとした。
「おめでとう諸君。私が学園長だ。今日から君たちは当園に入るわけだが、難しいことは何もない。3年間、各々が好きなように過ごしてくれ。ワーッハッハー」
学園長だったおじさんは豪快に笑うとまた噴水の中に消えていった。女の人はため息をつくと説明を始めた。
「私は君たちを担当するフィリアです。よろしく。今日の入園式は以上で終わりです。明日以降、学園に通ってもらうためのテストがこの広場を中心に5か所あります。そんなに時間がかかるテストではないので、早く終わったら帰って結構です。結果は全員がテストを終えた1時間後にお知らせします」
うーん。不愛想だな。この学園の人はなんだか極端だな。変人ばっかりだ。まぁ早くテストを終わらせて家の手伝いでもするか。
「おーいトリア。学園から連絡来てるぞ」
父から手紙を受け取り封を切ると、そこにはテストの結果が入っていた。うわーはえー。ほんとに1時間ちょうどできたよ。どれどれ。テストを受けた結果の適正度合いが書かれていた。学問と魔法で分けられ、その後細かい項目がいくつもあった。学問はAで魔法はB+。最後に『貴殿は学園本校に属するものとする』と書いてあった。父が僕の様子をうかがってきたので、結果を見せると、
「本校か。良かったな。早く母さんに報告しにいかないとな」
そういって僕の頭をなでてきた。本校かー。いろいろな人がいるんだろうなー。明日からの学園生活が楽しみすぎてふわふわしていたが、明日に備えて早く寝た。
スぺ3 むつむら @mutsumura
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