スぺ3

むつむら

第1話 最弱の発現

ここはディス王国。


この物語を読んでいる君たちとは違う世界。


君たちの言葉では異世界になるのかな。


君たちが住んでいる世界とは違うことだけをわかってくれればそれでいい。


この世界は貴族制度の上に成り立っている。


僕は中級のごく普通の家庭で生まれた。


いや、不自由することなく暮らしているから恵まれているといえるのかもしれない。


今日は僕の15歳の誕生日。


この世界において15歳の誕生日は特別な日だ。


この世界では15歳になるとスキルを授かる。


そのスキルとともに今後の人生を生きていかなくてはならない。


つまりスキルによってつく職業が変わるのだ。


心拍が身体全体に伝わる。


もしかしたら君たちのもとにまで心臓の音が聞こえてしまっているかもしれない。


毎日なっている鐘の音。


この音をこんな気持ちで聞くことになるなんて思いもしなかった。


鐘の音が鳴れば、自分にスキルが宿る。


あと10秒・・・5秒・・・カーン。街全体に音が鳴り響く。


自分にスキルが宿った。最初にして最後のスキル。


その内容は、スキル名:スペード3 効果:カウンター 最大レベル10


意味が分からない。スキルの説明が恐ろしく乏しい。スキル名も意味が分からない。


鐘の音が鳴り終えたのにどこからともなく歓喜やら悲鳴やら声が聞こえる。


でも僕はリアクションをとれずにいた。


まあいい。家に帰ろう。


家に帰ると母と父が玄関で出迎えてくれた。


母が心配そうな顔で言った。


「どうだった?」


父も同じ顔をしている。


僕はスキルの説明をした。


父と母は説明を受けると


「まぁいいか。スキルは使っていけばわかる。今日はお祝いしよう」


そういって僕をリビングに通した。リビングはきれいに飾りつけがしてあって、テーブルの上には豪華な料理が置かれていた。


僕は感動し目頭が熱くなった。今日から僕も1人の大人になった。


ここまで育ててくれた父と母に恩返しするためにもこのスキルとともにこの世界を生きていこう。そう決意した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る