ポンコツ神様妹の日常


 地球の神様に名前はまだにゃい。


「あるわよ! ユーリアって立派な名前があるわよ!」


 ポンコツ神様の朝は遅いにゃ。


「ポンコツ言うな! いつも夜遅くまで仕事してるのよ! それに名前のことスルーするな!」


 どうでもいいことにゃ。


「神の名をどうでもいいって……」


 神様の朝食は兎従者の作った、ニンジンジュースに始まりニンジンポタージュ、キャロトパンと目玉焼きにニンジンのソテーと優雅な朝食にゃ。


「美味しいけどニンジンとホウレンソウの日替わりなのよね……」


 贅沢な奴にゃ。


「うっさいわね! たまにはご飯に焼き鮭、納豆に味噌汁が食べたいのよ~」


 自分で作ればいいにゃ?


「……料理スキル持ってません」


 料理スキル以前の問題じゃにゃいかにゃ?


「食ってやる~! ミーちゃんの猫缶食ってやる~!」


 ほどほどににゃ。


 優雅な朝食の後は、お煎餅を食べながらテレビでワイドショーを見て下界の情報収集。ちなみに好きなジャンルはドロドッロの不倫報道みたいにゃ。


「善人ぶった人間の裏の顔が見えて楽しいのよね~」


 この人、本当に神様なのかにゃ?


「正真正銘の神よ!」


 遅い朝食とお菓子を食べるのでお昼ご飯は食べないようにゃ。不健康にゃよ?


「神の辞書に不健康という文字はない!」


 便利な体にゃ。


 お昼のワイドショーを見終わると、やっとお仕事にゃ。従者さんたちが決裁待ちの書類をいっぱい持って来たにゃ。


 基本は判を押すだけの簡単なお仕事にゃ。優秀な従属神が頑張ってお仕事してますにゃ。


「上司は余計な口を出さないが常識よ!」


 出さにゃいではなく、出せにゃいでは?


「うっさい!」


 判を押し始めて三十分、もう見るのに飽きて鉛筆をクルクル回し始めたにゃ。


 いい加減な神様にゃ。こんなんだから、下界は災害や争いが絶えないのかもにゃ。


「人のせいにしないでよ! 人間の欲望は際限ないもの、その欲望を抑えきれなくなった愚か者が己の自己顕示欲を満たすため、権力を求め、争いを起こすのよ!」


 災害はどうなのにゃ?


「ここ最近の災害は人間が荒らし破壊した地球を、地球自身が自然治癒している現象よ。本来なら長い周期で自然治癒するのに、急激な環境破壊のせいで自然治癒が追い付かず、無理やり回復させようとしているせいね」


 神様の力でなんとかならないのかにゃ?


「少しは誘導することはあっても、基本下界には不干渉。神が下界に本格的に干渉するなら人類を滅亡させる時ね。人間はエゴイズムを克服しないかぎり、争いは果てしなく続くわ」


 神様怖いにゃ~。でもそこをにゃんとかするのが神様じゃないのかにゃ?


「エゴイズムを克服するための、人間が進化する誘導は何度も行っているわよ。それを掴めない人間が悪いのよ」


 厳しいにゃ~。


「神たるものは厳しいのよ」


 自分に対しては甘いけどにゃ。


「ぐっ……。さ、さぁ、おやつの時間よ!」


 まだ、三十分しか仕事してないにゃ……。


 おやつは牛の従者さんが作ったかぼちゃプリンとハーブティー。ご相伴させてもらたけどにゃ、マジで美味しかったにゃ。


「あっ、ドラマの時間だわ!」


 仕事しにゃいんかい!


「十分にやっったわよ! 長くやればいいってもんじゃないのよ。時間より濃ゆ~い内容が大切なのよ!」


 お皿を下げに来た牛さんが首を横に振っているので、おそらく嘘だにゃ。


「午後はやっぱり再放送サスペンスドラマよね~」


 今、おやつを食べたばかりにゃのに、どこから出したのかお煎餅をバリバリ食べ始めたにゃ。お菓子は別腹なのかにゃ?


「犯人はこいつね!」


 おそらく違うにゃ。そいつは犯人に騙された囮だにゃ。


「えっ、こいつじゃなかったの!? じゃあこいつが犯人ね!」


 それも違うと思うにゃ。その人は犯人をかばって罪を被る気にゃ。


「ちょっと!? なんで犯人の罪を被ろうとするのよ!」


 完全に脚本家の術中にはままってるにゃ。いい視聴者の見本だにゃ。


「犯人はあなたよ!」


 だから、違うにゃ。完全な引っかけにゃ。最後のどんでん返しのパータンにゃ。


「うそっ!? この人が犯人なの!?」


 ポンコツ神様には探偵の才能はないようだにゃ。


 ドラマを見終わると寝っ転がりながら読書、ラノベだにゃ。


「ラノベじゃないわよ。新文芸よ!」


 たいして違いはないにゃ。


 それにしても、ドラマはお煎餅、読書はポテチとよく食べますにゃ。


「育ち盛りだからね!」


 育ち盛りねぇ~。絶壁だにゃ。


「どこ見てるのよ!? それセクハラよ!」


 猫にセクハラはありませんにゃ。


「近しき仲に礼儀ありって言葉を知らないの!」


 知りませんにゃ!


「なによ、やろうっての!?」


 にゃにおぉ、やるにゃかぁ!?



『大変お見苦しいところをお見せして申し訳ございません。只今、自主規制中です。しばらくお待ちくださいm(_ _)m』



「はぁはぁ……今日のところは引き分けにしといてあげるわ!」


 にゃ、にゃにおぉー!? 誰が見ても勝敗ははっきりしてるにゃ!


「神罰を与えるわよ!」


 汚にゃい……それでも神様にゃ!


「神よ! 文句ある?」


 開き直ったにゃ!?


 その後も仕事せずに撮り貯めたアニメを見てますにゃ。


「そろそろ、夕ご飯ね。今日は何を食べようかしら?」


 そう言ってスマホをいじってから、電話を掛け始めましたにゃ。


 どこに電話を掛けたんだにゃ? それより神界もスマホ使えたんだにゃ。


「最近は電話ひとつでいろいろな食事を届けてくれるのよ。知らないの? 遅れてるわねぇ」


 ま、まさかウーバーニャーツか!? 神界にも届けてくれるにゃか!? 恐るべし配達員。


 まじで届けにきたにゃ……。


 神様、夕ご飯食べた後はゲーム三昧。相手をしてやったけどにゃ、へっぽこにゃ。シューティングも格闘ものもパズルも圧勝だったにゃ。


「きょ、今日のところはこの辺で勘弁してあげるわよ!」


 なにを勘弁するんだろうにゃ?


 そう言うと、乙女ゲーを始めたにゃ。


「私はロープレやシミュレーション、アドベンチャーが得意なのよ!」


 サスペンスドラマでは惨敗だったのににゃ。


「……」


 案の定、謎が解けずに同じところを何時間もウロウロ。


「人間、諦めが肝心よ!」


 あんた人間じゃなくて神様にゃ。


「細かいことはどうでもいいのよ! お風呂に入ってこよ♡」


 お風呂を上がってパジャマに着替えた神様。


 また電話を取ってどこかにかけている。


「そうなのよ~。今度、一緒に食べ歩きでもしない? ツッキーに人界に伝手があるじゃない? そうそう、毎日お菓子を奉納してくれるって子。その子にさあ……」


 お友達と電話みたいにゃ。神友かにゃ? 長い電話にゃ。


「ふう。ツッキーは羨ましいな~。毎日お菓子を奉納してくれる子孫がいて。チラチッラ」


 にゃ~は子孫じゃないにゃ。


「ケチね」


 ケチで結構にゃ。


 電話が終わったら今度は撮り溜めたアニメをお菓子をたべながら見始めたにゃ。まだ、食うんかい!


 やっと見終わったにゃ……。こんにゃ神様でこの世は大丈夫にゃのか?


「あぁ~、ミーちゃんをモフりたい~」


 ミーちゃんのこと忘れてなかったんだにゃ。


「当たり前でしょ! 私の大事なモフモフよ! さあ、寝るわよ。今日はあんたで我慢してあげるわ!」


 時計を見れば午前三時にゃ。朝寝坊なのがわかるにゃ。


 しょうがにゃいにゃ。一緒に寝てあげるにゃ。特別にゃんだからにゃ!


 このポンコツ神様、ミーちゃんいなくても大丈夫そうにゃ。


 忘れてないだけよかったにゃ。


 (みぃ……)




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神猫書籍発売記念SSキャットタワー(置き場) にゃんたろう @nyantarou

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